Japan Association for Medical Informatics

[4-J-1-06] 生きづらさを抱えた若者のチャット相談に基づく支援パタンの分析

*Risa Ohara1, Atsushi Omata1,2, Sumika Morino3, Satoko Hotta3, Kaya Kim4, Miwa Kaneko4, Shogo Ishikawa1 (1. 静岡大学 情報学部, 2. 浜松医科大学 次世代創造医工情報教育センター, 3. 慶應義塾大学大学院 健康マネジメント研究科, 4. 株式会社K2インターナショナルジャパン)

Anxiety, Chat Assistant, Advice Pattern, Large Language Model

【目的】本研究は、生きづらさを抱えた若者のチャット相談記録を分析し、悩みの傾向や支援パタンを明らかにすることを目的とした。本研究は、静岡大学倫理委員会の承認の下実施された。
【方法】LINEを利用し、10代から39歳までを対象に行った7ヶ月間のチャット相談記録を分析した。チャット対応は相談業務・個別支援従事経験3年以上である相談員が担当した。メッセージ総数31,488件(事例総数2,479件)のデータを基に、相談者の属性や相談内容の分類、頻出単語の抽出、大規模言語モデル(LLM)を使用しメッセージの感情ラベリングを実施し相談パタンを分析した。
【結果】相談者属性は、女性が71%程度を占め、年代は20代が最も多く45%で、次に10代が32%であった。相談を開始したにも関わらず、オペレータからの呼びかけに応じないケースは全体の相談件数の約35%を占めていた。このような相談者は支援者の応答が難しい日時に相談していた。相談内容の頻出単語を分析した結果、名詞においては「仕事」「相談」「学校」などの単語が多く、感動詞においては「ありがとう」が最も多く使われていた。相談者のメッセージでは、「そうですね」や「なるほど」など、理解が促進されている言葉が使われていた。また、メッセージ毎に感情分類を行った結果、相談者が「ありがとう」で終了している事例において、sadnessやfearのネガティブな感情から、joyのポジティブな感情に変化していることが明らかになった。
【考察・結論】チャットを書くことで自身の悩みが外在化され書くことによって少ないターンで解決に結びつく事例や、仕事や学校関連の単語が多いものの悩みの多様さをチャットからは判断、対応できない事例も抽出され、チャット相談特有の特徴があることが考えられる。頻出単語やLLMの感情変化パタンを活用することによって、支援パタンの抽出に有効であることが示唆された。