Japan Association for Medical Informatics

[4-J-2-01] 2保健所における高齢者施設感染症情報収集システム (FESSy)の有効性の検討

*Junko Kurita1,2, Yurina Saito3, Minako Sugiyama4, Yoshiyuki Sugishita4, Fujiko Irie3, Yasushi Ohkusa5, Naomi Sakurai6 (1. 茨城県立医療大学大学院保健医療科学研究科, 2. 大東文化大学スポーツ・健康科学部看護学科, 3. 土浦保健所, 4. 墨田区保健所, 5. 国立感染症研究所, 6. 茨城県立医療大学保健医療学部医科学センター)

early detection, facility for elderly people, outbreak, public health center, AI

【目的】虚弱な入所者が集団生活を営む高齢者施設は、新型コロナウイルス感染症に脆弱であるが、日本では2023年5月8日以降発生毎の発生届が廃止されたために、保健所が高齢者施設における流行状況を迅速に把握することが困難になった。それを補うために、高齢者施設感染症情報収集システム(Facility for Elderly Surveillance System :FESSy)を利用し、2保健所管内の施設で導入した。これは高齢者施設で症状、疾患ごとの患者数をweb上で入力すると、その情報が配置医師、協力医療機関、ICN、保健所等と共有され、またAIが異常な増加を判定するとメールが自動配信されるシステムである。本報告では2保健所管内の高齢者施設におけるFESSyの有効性を検討する。【方法】保健所が高齢者施設での流行を探知する方法は、FESSyのAIによる自動的探知 (FESSy AI)、保健所職員によるFESSyの閲覧(FESSy職員)、高齢者施設から保健所への電話等による報告 (直接報告)とした。直接連絡はFESSy参加施設と未参加施設の両方でとりうる経路である。有効性は、探知経路ごとに探知時点あるいは最終的な患者数の少なさで評価した。研究期間は2023年6月1日から2024年1月末までとし、検定方法はWilcoxonの順位和検定を用いた。【結果】両地域でFESSyには31施設が参加し、87件のクラスターを探知した。FESSy経由の探知(FESSy AIあるいはFESSy職員)は、直接連絡よりも探知時点あるいは最終的な患者数が有意に少なかった。またFESSy AIとFESSy職員を比較すると、後者の方がより有効であった。【考察・結論】FESSyは施設からの直接連絡よりも、有用であった。【倫理的配慮】本研究は茨城県立医療大学研究倫理委員会の承認を受けている。