Japan Association for Medical Informatics

[4-J-2-03] 地域医療連携ネットワークシステムにおける臨床検査結果表示の統一化に向けた取り組み

*Tetsuya Usui1, Yuki Maruyama2, Satoshi Kato2, Kenji Suzuki3, Hiroo Hasegawa4, Takehiro Matsumoto5, Katsunori Yanagihara4 (1. 長崎大学病院 検査部, 2. 合同会社 H.U.グループ中央研究所, 3. 株式会社エスアールエル, 4. 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科病態解析・診断学, 5. 長崎大学病院医療情報部)

Community Medicine Coalition Network Systems, clinical laboratory test result, unification

【目的】「あじさいネット」は長崎県の地域連携ネットワークであり、拠点病院(情報提供病院)38施設の全電子カルテ情報を、400もの医療機関、薬局と共有し、検査・画像・処方など医療情報の一元管理を進めている。臨床検査データに関しては、標準コードJLAC-10体系へのコード変換、共用基準範囲の採用、長崎県精度管理サーベイを実施し、標準化を進めている。「あじさいネット」では、情報提供病院の検査データと診療所で実施した外注検査の検査データを時系列に表示可能であるが、血球数等では106/mlや104/ml等の桁数の違いや基準範囲が異なった検査項目も存在し、時系列表示に支障が発生している。今回、その改善を試みたので報告する。【対象・方法】あじさいネットに参加している情報提供病院8施設と外注検査センター3社を対象に、それぞれ検査項目毎に単位の変換係数を検討した。次に、結果表示画面上に基準範囲を同時表示することで違いを一瞥できるようにした。【結果】対象中、長崎大学病院と2つの検査センターで約70項目の共通化を試みた結果、単位が統一でき時系列表示の視認性が改善した。基準範囲が異なる場合にはアラートを表示し、時系列グラフ表示上に基準範囲も同時に描画する機能により基準範囲が異なっていても、時系列変化時の臨床的意義を判断できるようになった。【考察と結語】公的データベース等でコードの標準化は進められているが、単位表示の相違や基準範囲の差は加味されていないことが多い。本研究は、地域完結型医療の中で臨床検査データを有効活用する上で、重要と思われる。今後「あじさいネット」に参加する全医療機関に対して本取組を進めることで、地域全体での臨床検査データの有効活用を実現することができ、不要な検査の削減と地域医療の質向上に貢献できるものと思われる。