[4-J-2-04] 汎用クラウドPACSを救急医療専用システムとして運用した実績と評価
cloud PACS, diagnostic aid / clinical support, emergency medicine, sharing image data
【背景・目的】当直医が自身の専門外の疾患を診るとき,より正しい臨床的判断のために専門医に相談したい場面がある。我々の施設では,電子メールを使って画像共有を行っていた(以下,旧手法)が,2023年に汎用型クラウドPACSを院内外で画像を共有するためのツール(以下,本システム)として新たに導入した。これまでの実績をもとに,本システムの評価と課題について検討する。【方法】対象は,実際に画像共有された症例10例ずつとした。①画像の送信に要した時間の比較。旧手法:当時の標準手順通りに操作を再現,実測した。本システム:実際の操作ログから算出した。②送信した画像の枚数。旧手法:当時の記録から,送信された枚数を確認した。本システム:送信ログから画像の枚数を確認した。①②の結果から,旧手法と本システムを比較,検討した。【結果】①旧手法では平均4分59秒,本システムでは平均2分48秒。②旧手法では平均2枚(4イメージ/枚),本システムでは平均420イメージ。【考察・結論】旧手法では,画質の維持や送信側・受信側双方の手間などを考慮し,共有する画像枚数を制限していた。それでも1イメージの送信に平均39秒の時間を要していた。本システムでは,送信側・受信側双方の手間が格段に簡素化され,短時間に多くの情報を共有できるようになった。具体的には,旧手法では送信画像の選択,照明や撮影者などの背景の映り込み,セルラー端末の通信状況などに配慮する必要があったが,本システムではこういった手間がなく共有を実現できている。加えて,関連ガイドライン準拠のクラウド型サービスを利用することで,より確実に情報保護を実現できるようになった点も大きい。本システムの運用実績はまだ少なく,臨床面も含め多方面からの評価を継続して行っていく。【倫理的配慮】大船中央病院研究倫理委員会の承認を得た(承認No.2024-001号)。
