[4-J-2-05] 診療行為におけるインフォームド・コンセント(IC)取得時の看護師の同席実施率に関する調査
Informed Consent, consent documents, investigative technics
【緒論】病院機能評価の評価視点では、患者が理解できるような説明を行い、ICを得ることが明記されており、ICに関して方針や基準・手順書を整備し、IC取得の状況を確認することが求められている。当院では、IC取得時の看護師の同席実施率の調査を実施している。これまでは別の監査業務と同時に看護記録等を目視していたが、作業負担減を図るために電子カルテ定型文を抽出することで効率的な調査を試みたので報告する。 【方法】調査対象としたのは、2023年4月から2024年3月までに実施されたIC取得である。本研究では同席実施率の定義として、分母を電子カルテに登録されている全ての説明同意書の作成実績数、分子を看護師の同席実施回数とした。前者については、電子カルテのDWHを利用して当該期間の実績数を抽出した。後者については1)看護師が同席した記載のあるIC取得に関する記録(医師が記載するテンプレート)または2)IC取得に関する看護記録(看護師が定型文を用いて記載する)のうち、「説明内容」等の定型文が含まれている記録を抽出対象とみなし、DWHを利用して抽出した。ただし、当院は2023年12月末にベンダ変更を伴う電子カルテのリプレースを実施した関係で、その前後で抽出ルールが若干異なっている。 【結果と考察】結果として当該期間全体の同席実施率は、13.4%(133,833件/103,253件)であった。傾向として、侵襲性の高い手術に関する説明同意書では実施率が高く、逆に検査に関する説明同意書では低かった。データ抽出により一律に同席実施率を算出する手法を用いたことで、それ以前と比べ調査に要する時間は飛躍的に短縮された。本研究の限界として、現時点では看護記録内の定型文が編集可能であるため、必ずしも全数を抽出できていないことである。今後、運用を見直し定型文が固定されることで、より精緻な調査が可能になると考えている。
