Japan Association for Medical Informatics

[4-J-3-03] バーコードを用いた母子照合システムの開発

*Yuki Ito1, Naoki Nakamura1, Hiroko Sugawara1, Takako Odaira1, Hideki Ota1 (1. 東北大学病院)

Barcode, Verification, FHIR

【目的】医療現場において患者の安全を確保することは極めて重要であり、特に産科では母子の取り違えが重大なインシデントとなる可能性が高い。従来の目視確認や紙の記録に依存した方法では人的ミスが発生しやすく、安全性に課題があった。これを解決するために、バーコードを用いた照合システムを導入し、安全で確実な患者管理を実現し、医療の質の向上を図ることを目指す。
【方法】母と新生児それぞれが装着しているリストバンドは、患者IDを示すバーコードを印字している。これを読み取るために、ブラウザベースで動作するアプリケーションを開発し、読み取りのデバイスとしてiPod Touchを使用した。スキャンされたバーコードデータは、電子カルテシステムとの連携により、母の患者IDおよび新生児に付与される患者IDを照合する。電子カルテデータの取得および連携にはFHIR(Fast Healthcare Interoperability Resources)を利用した。
【結果】システムの導入後、照合作業は迅速かつ正確に行われるようになり、医療スタッフからも高い評価を受けている。iPod Touchを用いた手軽なバーコードスキャンとFHIRによる電子カルテデータの連携が、操作性を向上させる重要な要素となっている。また、これにより日常の業務フローに組み込まれ、安全の向上に貢献していることが示された。
【考察・結論】本システムでは、ヘルスケア情報の標準化および相互運用性を確保するためのフレームワークであるFHIRを活用することで、電子カルテから必要なデータを迅速に取得することが可能となった。これにより、医療現場での迅速かつ正確なデータ照合が可能となり、医療安全の向上に大きく寄与することが示された。今後の課題としては、母子以外での照合アプリケーションの検討による、医療安全における用途の拡大が挙げられる。