Japan Association for Medical Informatics

[4-J-4-03] MID-NETに蓄積される電子カルテデータの特性解析
―レセプトデータ、DPCデータとの比較―

*Yu Yamasaki1, Satomi Inomata1, Azumi Takano1, Kazushige Murayama1, Mitsune Yamaguchi1 (1. 独立行政法人医薬品医療機器総合機構)

MID-NET, real world data, SS-MIX2, PMDA, medical information database

【目的】
 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「PMDA」)は、PMDA法に基づく業務の一環として、MID-NETを運営・管理している。MID-NETは、全国10拠点33病院の協力医療機関が参画し、各協力医療機関が保有する電子カルテデータ(以下「SS-MIX2データ」)、レセプトデータ及びDPCデータを蓄積している医療情報データベースであり、2023年12月末時点で800万人超のデータ規模となっている。本研究では、MID-NETのデータの特性を把握するため、MID-NETに蓄積されるSS-MIX2データとその他のデータを比較した。
【方法】
 MID-NETに蓄積される2022年の各データを用いて、患者年齢別、傷病分類別、医薬品の薬効分類別の集計を実施した。患者は男女・年齢層別、傷病分類はICD10コード3桁単位、医薬品はYJコード9桁単位で人数を集計した。SS-MIX2データとその他のデータの集計結果を比較し、データ量や分布の差異について考察した。
【結果】
 データ量は、各集計においてSS-MIX2データとその他のデータで差異がみられた。患者数は、SS-MIX2データ、レセプトデータ、DPCデータの順に約190万人、約160万人、約160万人であった。傷病分類別集計の延べ人数は、約770万人、約1270万人、約130万人であった。薬効分類別集計の延べ人数は、約950万人、約380万人、約1195万人であった。分布傾向は、傷病分類及び薬効分類で差異が認められた。
【考察・結論】
 MID-NETに蓄積されるSS-MIX2データには、処置薬や検査用薬のデータが含まれにくいが、その他のデータと比較して、院外処方や入院時持参薬、医科保険以外の診療情報、実施の有無にかかわらない処方の情報など実臨床における幅広いデータが反映されていると考えられた。これらは取込元のデータ、MID-NETの取込仕様、集計方法の違いが原因であり、データ量及び分布の差異に影響を及ぼしていると考えられた。
【倫理的配慮】
 本研究における情報はPMDA法に基づく業務の一環として取得しており、用いたデータ及び集計結果には、個人を識別できるような情報は含まれていない。