[4-J-4-04] 臨中ネットにおけるReal World Dataの利活用に向けた品質管理活動
Real World Data, Data Quality, SS-MIX2
【目的】臨中ネットは、様々なリサーチクエスチョンに対して、多施設の医療情報を統合して臨床研究に用いることを念頭に置いており、データを共有する際の品質の定義や、それを全体としてコントロールする必要がある。臨中ネットサブワーキンググループ4タスクフォース1(SWG4TF1)では、データ品質の目標を臨床研究に用いることが可能なレベルとし、施設主導の品質管理活動を実施した。日本におけるReal World Dataの利活用に求められるデータの品質を明確に示す系統的な方法は示されていないが、本研究では、SWG4TF1で実施した品質管理活動で得た知見や課題について報告する。【方法】病院情報システムのデータとSS-MIX2のトランザクションログを突合し、その一致性を検証するためのツールを開発し、作成した手順書及び計画書に基づき品質管理活動を実施した。ツールを実行した結果は、施設共通のチェックリストに一致率%(件数及び内容)として明示し、課題を認めた場合は必要な対応を行い検証した。認められた課題は、課題管理表に記載し施設間で共有した。【結果】検証作業の結果、いずれの施設でもデータの一致率は概ね100%であったが、一部の項目で不一致となった事例が認められた。不一致事例の原因を調査したところ、マスタの設定不備や、施設固有の特殊な運用に起因するもの等があった。施設共通のチェックリストを用いたことで、共通の定義でデータの品質を議論できた。また、課題管理表の共有は、課題の原因分析や各施設の対応方針の策定に役立ち、施設の自主的な品質管理活動に寄与した。【考察・結論】本品質管理活動により、施設でのデータの品質向上の課題と対策の明確化ができた。本検証作業で認められた課題は、施設共通の事例もあり、これら課題及びノウハウの共有は、臨中ネット外の施設でデータの品質管理を実施するうえでも重要な知見になると考える。
