Japan Association for Medical Informatics

[4-J-4-05] 電子カルテと部門システムのデータを集約することで容易となったデータ抽出作業の1例<人工聴覚器症手術例登録データの抽出>

*Keizo Fujiwara1,2, Chisako Hara2, Shohei Furukawa2, Kosuke Kishiro2, Hiroyuki Ohtsuka2, Kohei Kikuhata2 (1. 神戸市立医療センター中央市民病院 耳鼻咽喉科, 2. 神戸市民病院機構 法人本部DX推進室)

Centralized data management, Data Warehouse (DWH), National Database of Hearing Implants

【目的】
日本耳科学会が主導する「人工聴覚器手術全国データベースの構築」におけるweb症例登録は、基本情報・手術・聴覚情報など95以上の入力項目からなる。主治医が電子カルテを目視し手入力で登録していたが、電子カルテと部門システムのデータを一元的に管理し検索可能な環境が構築されたことを受け、症例毎の必要データを一括で抽出し、主治医による確認後、RPAにより登録画面に自動転記する運用を考えた。RPAによる自動転記のためには正確なデータの抽出が必須である。今後、本法を運用するにあたり抽出データの正確性を検討したので報告する。
【方法】
統合データベースからDWHを用いて、手術実施入力が「人工内耳植込術」である症例の手術情報・術前1年間の聴力検査・テンプレートを一括で抽出する。2023年3月から2024年4月の間の症例をDWHで抽出し(以下DWHデータ)、登録済みデータとの相違を検討した。
【結果】
登録済みデータは56例であったがDWHデータは55例であり、1例が抽出できなかった。抽出できた55例の各項目を登録済みデータと比較すると、延べ4986項目に対して220項目(小児の手術時月齢3項目、聴力検査結果199項目、人工内耳機種18項目)で入力値が異なっていた。これらは登録時の読み取りミスや未入力でありDWHデータが正確であった。
【考察】
DWHの検索キーとして、耳鼻科医が入力する手術実施入力が正確であろうと考えたが、実施入力が遅れた1例は、術式が「医事課確認」となっており抽出できなかった。症例の抽出漏れを防ぐために麻酔科医が記載する手術部門システムをキーとして確認することも検討したい。DWHデータの内容は正確であることがわかり、むしろ手入力した登録済みデータにミスが見つかった。
【倫理的配慮】
当院の倫理委員会で「人工聴覚器手術全国データベースの構築」の承認を受けている(研22210)