一般社団法人 日本医療情報学会

[4-J-5-06] 電子カルテリプレースにおけるコンテンツの移行方法に関する検討

*増田 理那1、木村 ほのか1、山田 いづみ1、貝塚 伴子1、羽石 遥1、西川 千尋1、平山 史花1、内川 優1、土井 俊祐1、鈴木 隆弘1 (1. 千葉大学医学部附属病院)

Hospital Information System, Clinical documentation, System replacement

【緒論】当院では、2023年12月末にベンダ変更を伴う電子カルテのリプレースを実施した。Word・Excelなどの診療文書やテンプレートなどのコンテンツについては、文書管理運用WGが担当して移行方針を検討した。この移行作業ではそれぞれのコンテンツの棚卸しも兼ねており、利用実績をもとに移行の要不要を判断した他、移行後の運用を考慮し各コンテンツ分類や絞り込み機能の整理などを同時並行で行った。本稿では、これまであまり知見として整理されてこなかったベンダ変更時のコンテンツの移行手法についてまとめるとともに、その際に判明した課題を整理したので報告する。
【方法】新システムへの移行にあたり、当初コンテンツに関する機能には新旧の違いはないとされており、大きく分けて文書作成・参照(Word, Excel)、Excelチャート、テンプレートに分けて作業を実施した。大方針として、1)一定期間利用実績がないコンテンツは移行対象外とする、2)記載内容を二次利用したい場合は、なるべくテンプレートとして移行させる、3)類似した内容のコンテンツはなるべく診療科共通のものを新たに作ることで統一する、こととして、必要に応じて個別に各コンテンツ担当者と調整の上でそれぞれ方針を決定した。
【結果と考察】結果として、旧システムで存在していた文書4,919件、テンプレート210件、スタンプ13件は、新システムでは文書作成・参照2,652件、Excelチャート23件、テンプレート264件となり、2,345件のコンテンツは廃止となった。当初、新旧システムでの機能差はないとされていたが、例えば文書作成ではスキャンを簡便化するQRコードを付与できる機能があることがわかり、移行直前に急遽対応が必要となった。他方、テンプレートでは診療科ごとになっていた運用が統一されるなどの効果もあり、移行時の丁寧な方針決定が重要であることを示した。