一般社団法人 日本医療情報学会

[LS6] がん領域のRWD集積とデータ活用の取り組み:院内開発「統合がん臨床データベース」の社会実装・多施設展開 -SIP第3期の取り組み

*鈴木 一洋1 (1. がん研有明病院 医療情報部 副部長)

 がん研有明病院では、2017年より統合がん臨床データベース(以後「統合DB」)の院内開発を進めてきた。外科系診療科のデータベース構築やNCD等の学会症例登録事業へのデータアップロードなど、これまで人海戦術に頼ってきたデータ収集・整備作業の自動化に取り組んできた。また、医療安全や外来業務に関連するものなど、電子カルテや部門システムでは直接的に実現することが難しい機能についても、DWH 等からのデータ自動収集とアプリケーションの院内開発を通じて、現場と一緒に課題解決を図ってきた。
 SIP 第3期「統合型ヘルスケアシステムの構築」のサブ課題B-1「がん診療についての統合的臨床データベースの社会実装」においては、統合DB を全国のがん専門医療機関へ展開するだけでなく、各施設で収集したデータをリアルワールドデータ基盤として整備し、明日の医学・医療に利活用可能なインフラへと発展させるべく、HL7 FHIR を用いたシステム間連携の検討も進めている。
 本セッションでは、これまでの院内開発の取り組みからSIP で目指す社会実装まで、幅広く紹介する。