日本教育心理学会第58回総会

講演情報

ポスター発表 PD(01-64)

ポスター発表 PD(01-64)

2016年10月9日(日) 10:00 〜 12:00 展示場 (1階展示場)

[PD29] 英単語に対する難度感について

大学生の学習心理特性

浅井淳1, 松岡真由子2 (1.大同大学, 2.福岡工業大学短期大学部)

キーワード:英語, 難度感, 学習心理

目   的
 英単語に関する難度感に関して,現在の学習者の学習心理を知り教育的理解を進めることを目的に,難度判断に関して検討した。
方   法
対象・内容
 2011~2015年度の大学1年生,計298名。教材は英検2級程度のEFL教科書を用いた。
回答・集計
 年度末に自由記述により,教科書中で難しかったと思った英単語を個数の制限なく書き出してもらった。これを難語と呼び,集計した。
結   果
単語の長さ
 難語に対する回答は延べ905,異なり数で278語が得られた。教科書全体の語の音節数と比較して難語の音節数の分布をFigure 1に示す。縦軸は構成比である。音節数が多い語への回答が多く,難度判断の基本特性の1つは長さであった(1)。
語彙の種類
 長さが短く,コーパスにおける相対出現頻度値が比較的高くても,回答が多かった難語群があった。これをTable 1に示すようにblink,burp,yawn,glueなど生活関連(2),diploma,mortgageなど未経験の対象(3),ならびにcriterion,dispersalなど抽象的概念(4)を表す語に分けた。
語彙指標との関連
 次に,京大学術語彙ならびにEFL向け基本語彙について集計すると,Table 2に示すようにcontamination,intensityなど学術語への回答が多かった(5)。
考   察
 生活関連語(2)は現代的な生活様式におけるなじみが低く,そして実業実用性を重視する観点から学習機会が少ないと思われる。また,学術語(5)やいわゆるESP語彙は分野が限定されており,複眼的な反復学習機会を設けにくいことが難度感をもたらす要因の1つと思われる。
このように,今回の調査結果(1~5)からFigure 2のような難度感の特性が考えられる。
 これらの学習心理諸特性を考慮して教育内容編成にあたる必要性が示唆される。