一般社団法人 日本医療情報学会

[3-E-2-04] 作業確認の信頼性向上を高めるAI介入の可能性について

瓜生 裕二1 (1. 船橋市立医療センター)

看護業務において診療記録に関連した事項として、予め医師が診療記録に記載された指示に対し、忠実に実施され、その状況を温度板等の看護記録へ記載することが該当する。医師の指示に対し、安全且つ確実に実施する手法として、看護業務実施前の指差し・声だし確認が行われているが、これは医療安全の基本として各医療機関の安全管理マニュアルには必ず記載されており、看護師のみならず多くの医療従事者が日々実践している。
 しかし、医療機能評価機構の医療事故情報収集等事業における、平成30年度のヒヤリ・ハット事例において、改善策として「指差し・声だし確認を行う」と報告されたものが37例あることを考慮すると、まだ全てにおいて実施されていないことが窺える。その一方で、ダブルチェックによる確認が試みられているが、これにおけるヒヤリ・ハット事例は541例報告があり、中にはダブルチェックでも防止できなかったヒヤリ・ハット事例も報告されている。
 これらのヒヤリ・ハット事例の当事者は、経験年数の短い者に限らず、経験年数が長い者でもなりうることもあり、これを補う方法に機械を用いたダブルチェックの導入事例もあるが、操作・判断を人が行う以上、確実になくすることは困難であると言われている。
 これらを踏まえて、市中で普及しているデバイスで2つの事象、指差し・声だし確認の確実な実施、及び指示内容の確認のサポートについて、解決の可能性が期待できるものとして、電子カルテと接続し対話による内容確認を進めていく、チャットボットを中心としたウェアラブル機器の医療への転用について、考証を行なった。