一般社団法人 日本医療情報学会

[4-I-2-01] 上級医療情報技師の現状調査

成清 哲也1 (1. 広島国際大学 医療経営学部)

 高齢化が急速に進む我が国では人々の健康意識が高まっている。また、次世代電子カルテシステムや患者をユーザとするEHR・PHRが論じられ、医療福祉介護を支える情報化基盤づくりが進められ、大規模健康・診療データベース構築による疾患の原因の解明、ゲノム情報を含む巨大データの処理と、「いまこそ」医療情報化の大きなエポックと考える。こうした時代に、倫理観をもち、社会的サービス志向を有し、正しい方向に医療情報化をリードする人材がどれほど重要であるかは論を待たない。医療情報技師の認定者数は、合計21,882名(平成30年度)を数え、保健医療福祉の現場で活躍する一方で、わが国における医療情報の高度専門職である上級医療情報技師の認定者数は、402名(平成30年度)と、その数は限られており、活躍による保健医療福祉現場への貢献は十分であるとは言えない。そこで医療情報技師育成部会では、技師の活躍を支援するために、認定者に対してアンケートを実施した。
 実施期間は、2019年2月22日から28日で、技師402名に対して上級医療情報技師の有資格者で構成しているメーリングリストで依頼し、Webフォームに回答を入力する形式で実施し、回答者は202名(50.2%)であった。
 本調査より、上級医療情報技師の所属機関は企業と医療機関に半々であり、所属部署が多様なことから、組織間および組織内での橋渡し役を担っていることが示唆された。今後さらに情報技術が大きく進展し社会のニーズが変化する中で、継続的に技師の能力を高め活かせる環境を構築していく必要がある。一方で、技師のニーズ・背景も多様であり、慎重に進める必要があることが示唆された。育成部会と技師会は本調査で判明した結果をふまえ、生涯学習並びに活躍の場の支援のための環境を構築していくことが望まれる。