日本調理科学会2022年度大会

大会実行委員長挨拶

一般社団法人 日本調理科学会2022年度大会のご案内

大会実行委員長:坂本 薫 (兵庫県立大学)

世界文化遺産・国宝 姫路城(天守閣と西の丸)
世界文化遺産・国宝 姫路城(天守閣と西の丸)

 会員の皆様には平素より日本調理科学会の活動にご理解とご協力をいただき深く感謝申しあげます。

 2022年度大会は近畿支部の担当で、開催校は兵庫県姫路市にある兵庫県立大学姫路環境人間キャンパスです。白鷺城と称される白く美しい姫路城が徒歩圏内ですので、トップページやポスターに姫路城を印象深くデザインしていただきました。口頭発表は対面とオンラインのハイブリッド形式で準備を進めています。対面での開催が可能かどうかについては6月に最終判断をする予定です(詳細は口頭発表要項をご覧ください)。

 COVID-19の感染拡大により学会の形式も変容していますが、私たちの食生活もいろいろな意味で変化してきています。感染拡大の初期には、ホットケーキミックスの売れ行きが伸びるという話題がありました。家にいる時間が長くなり、家庭での調理が増え、調理の動画サイト等が急速に充実してきています。そもそも人間が他の動物と異なる点は、「調理」(特に加熱調理)をする点です。「調理」をしておいしいものを食べることは、ストレスを軽減し、人間を人間らしくしてくれると常々感じています。例えば大きなストレスを生じさせる災害時でも、近しい人と調理して食べるという行為により、たとえそれが一瞬であったとしても、ほっとできる時間が生み出されるのではないでしょうか。災害や感染症など困難な事態がつぎつぎと発生する今こそ、日本調理科学会の果たす役割も大きいと考えます。

 近畿は、古都として名高い京都や奈良などを擁し、食文化も豊かです。兵庫県は、日本酒生産量全国1位を誇っており、黒毛和種の和牛但馬牛の産地でもあります。姫路市は近畿の西の端の播磨に位置します。播磨は、生産量全国1位を誇る手延素麺の産地であり、生産量全国2位の醤油についてはうすくち醤油発祥の地として有名で、日本酒発祥の地(複数あります)とも言われています。
 このような食文化をそれぞれの地域で大切に育みつつ、これからの生活に必要とされる環境に配慮した食生活を実現するため、公開学術講演会として「森と海から調理科学へのメッセージ—持続可能な食文化を育むために」を企画しました。初めに、いかなごの醤油煮を伝統食として新たに位置づけたり、明石の海苔を使った恵方巻を普及させたりするなどの活動を通して魚食文化を発信し続けてきた鷲尾圭司氏(元国立研究開発法人水産研究・教育機構理事、日本伝統食品研究会会長)、ついで生物地球化学や水文学が専門の伊藤雅之氏(兵庫県立大学環境人間学部准教授)にお話しいただきます。「SDGs 未来都市」に指定された姫路市において、食文化と環境問題の深い関わりを知り、SDGsの視点を持った持続可能な食文化の育成について考えるきっかけにしていただければ幸いです。

兵庫県立大学姫路環境人間キャンパスの講堂(国登録有形文化財)など

 対面開催が実現できれば、実に3年ぶりとなります。特別企画「次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理」のポスター発表(eポスターと会場でのポスター掲示の両方)は本大会が最終回です。兵庫県立大学姫路環境人間キャンパスには、NHK朝ドラの撮影にも使用された国登録有形文化財の建物もあります。

 調理科学の発展を願いつつ、多くの皆様のご参加を実行委員一同心よりお待ち申しあげております。

兵庫県立大学姫路環境人間キャンパスの講堂(国登録有形文化財)など
兵庫県立大学姫路環境人間キャンパスの講堂(国登録有形文化財)など