The 58th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PB(01-64)

ポスター発表 PB(01-64)

Sat. Oct 8, 2016 1:00 PM - 3:00 PM 展示場 (1階展示場)

[PB35] 通常の学級におけるICT活用授業の学習効果の検討

発達障害傾向のある児童に焦点を当てて

熊谷恵子 (筑波大学)

Keywords:ICT活用授業, 発達障害, 学習効果

目   的
 本研究では,一斉授業の中で,タブレットPCを全員の児童に使用した場合,発達障害傾向のある児童(以下,困難児童,その群は困難群という)の困難の特性を明らかにした上で,タブレットPCが発達障害傾向のある児童にどのような効果があるかを検討する。
方   法
1.対象
 A小学校5年生児童:全4クラス125名
 A組(2/31人)B組(1/32人)C組(3/31人)D組(1/31人)。( )内は,担任がチェックした困難児童の人数/クラスの人数)。
2.手続き
1)クラスで気になる子どもについて,各担任教師に発達障害傾向チェックリスト(文科省,2003)の記入を依頼した。項目の値が基準より高ければ困難があると判断した。
2)授業は3コマ行った(1コマ目:iPad操作と2種類のPre-test,2/3コマ目:日常語彙とオノマトペの指導の2種類の授業とそれぞれのPost-test)。
3)授業者は,筆者の大学附属学校の国語教師が出前授業を行った。ICTあり授業では,言葉を使った会話の場面を,お絵描きアプリを使い,絵に描くことに使用した。ICTなしの通常授業では,その場面では,紙に色鉛筆で描いてもらった。
4)Pre-test,Post-testは,(株)ジェナとの共同開発したアプリケーションをタブレットPCに搭載し,それを使用して提示した。授業に関連する知識を問う10問ずつの問題を授業者が作成し行った。
5)授業を行った後に,各授業の授業満足度調査と最終日にICTあり授業のICTなし授業に対する相対的な満足度についてのアンケートを行った。
結果と考察
 発達障害傾向の困難ありの児童の困難:それぞれの児童によって困難の種類は異なった(表2)。
ICTあり授業の効果:困難群一人ひとりで結果が異なった(図1)。ICT授業の満足度調査では,児童皆の満足度が高かった(図2)。ICTありとなし(通常)授業において,困難なし群,困難あり群でテストの正答数に関して二元配置分散分析を行った結果有意差はなかった。困難あり群の人Pre-Testの得点は低めであるのに対して Post Testの結果は困難なし群の正答数により近くなる傾向があるように思われた(図3)。