The 58th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PB(01-64)

ポスター発表 PB(01-64)

Sat. Oct 8, 2016 1:00 PM - 3:00 PM 展示場 (1階展示場)

[PB37] 学習の態度の認知・情緒・行動間の関連

多母集団同時分析を用いた中学生の結果

児玉裕巳 (筑波大学大学院)

Keywords:学習の態度, 認知・情緒・行動, 多母集団同時分析

問題と目的
 児玉・石隈(2015)は中学・高校生の学習の悩みの実態を捉えること意図して認知・行動・情緒の3側面からなる学習の態度尺度を作成し,各側面3つずつの計9因子を見出した。さらに相関分析より因子(態度)間の特徴として,中学生は高校生より対処回避とポジティブな態度との負の関連が強いこと等を明らかにした。以上を踏まえ本研究では「認知→情緒→行動」モデルを想定した上で構造方程式モデリングを用いた多母集団同時分析を行い,因子間の関連および中学・高校生の相違をより詳しく検討することを目的とした。ここでは中学生の結果を報告する。
方   法
分析対象 学習の態度尺度を作成した児玉・石隈(2015)と同じデータ(調査時期:2012年10月〜12月。有効回答者数:中学生598名,高校生763名)を用いた。
モデルの構成 学習の態度尺度の9つの因子(構成概念)を潜在変数,尺度を構成する質問項目を観測変数とし,認知面から情緒・行動面,情緒面から行動面へのパスを設定した。また因子間相関等から必要な誤差変数間の共分散を設定した上で,豊田(2007)の方法により分析を進めた。
結果と考察
 中学・高校生ごとの分析,配置不変性の確認(GFI=.843,RMSEA=.038),差の検定,等値制約の検討(制約なしモデルを採用)を行い,最終的に中学生はFigure 1の結果を得た(GFI=.845,RMSEA=.052)。主な特徴として,認知面では,コスト受容が多くのポジティブな態度を促進し学習の不安と対処回避を抑制していたことから,コスト受容の重要性が示唆された。関与肯定はポジティブな習慣的な積極行動を抑制し学習の不安と対処回避を促進していたことから,関与肯定の複雑な働きが示唆された。遂行目標の重視は学習の不安だけに有意な影響を与えており,中学生にとって遂行目標の利点は見出されなかった。情緒面では,統制感がポジティブな習慣的な積極行動とテスト課題対処を促進し対処回避を抑制していたことから,統制感の重要性が示唆された。充実感はいずれの行動面の態度にも有意な影響を与えておらず,重要性がよく指摘される充実感はそれ自体が学習の目標になっていると考えられた。学習の不安はいずれの態度も促進しており,その影響は大きいとは言えないが複雑な働きをすることが示唆された。また6つの関連(アンダーライン付きの標準偏回帰係数)で高校生との差異が見出された。