The 58th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PB(01-64)

ポスター発表 PB(01-64)

Sat. Oct 8, 2016 1:00 PM - 3:00 PM 展示場 (1階展示場)

[PB58] あだ名の研究(7)

『二十四の瞳』

大野木裕明 (仁愛大学)

Keywords:あだ名, パーソナリティ, 呼称

目   的
 ニックネーム・あだ名は,その人物が周囲からそのように見られているという対人認知の目印である。しかも「ジョハリの窓」に配置すると,周囲からの人物評が一望できる(大野木,2005)。
 本研究の目的は,小説『二十四の瞳』について,これまでの分類カテゴリー(大野木,2015)(紙幅の都合で一覧表割愛)で説明が可能か(目的1),「ジョハリの窓」理論の4領域でみるとどう記述されているか(目的2)を検討することである。文芸的な作家論・作品論には言及しない。
結果と考察
 目的1:大石先生へのあだ名は「おなご先生」「小石先生」「泣きみそ先生」(Table 1)であった。分類カテゴリーは,先の2つが「身体的特徴の指摘」(分類カテゴリー4),3つめが「行動的特徴・エピソードの指摘」(分類カテゴリー8)であった。子どもたちのあだ名はすべて,「名前の変形」(分類2)あるいは「姓名の変形」(分類3)であった(Table 2)。
 目的2:「ジョハリの窓」の領域と関連づけると,開放open領域の成分がほとんどであった。
 あだ名の命名方略は,身体的特徴の指摘,行動的特徴・エピソードの指摘,名前の変形,姓名の変形であり,従来のカテゴリーで説明できた。これらのあだ名には,子どもの対人認知の発達的特徴が見られた。すなわち,内面的描写の反映としてあだ名が使われた『坊ちゃん』『サラバ!』などと異なり,外見的に関連づける用法であった。
 なお,命名理由の記載のないものもあった。
なし:竹下竹一、相沢仁太、木下富士子、山石早苗
文   献
大野木裕明(2005).『間合い上手』NHKブックス.
大野木裕明(2015).『呼称の対人的機能』ナカニシヤ出版.
壺井 栄(1979/2005).『二十四の瞳』ポプラ社.