日本教育心理学会第58回総会

講演情報

ポスター発表 PE(01-64)

ポスター発表 PE(01-64)

2016年10月9日(日) 13:30 〜 15:30 展示場 (1階展示場)

[PE27] 教師のグラウンド・ルールに関する一考察

小学校第3学年の4月当初における習慣化した行為の変遷

寺本貴啓1, 山田香織#2 (1.國學院大學, 2.江東区立第二亀戸小学校)

キーワード:グラウンド・ルール, 小学校, 学級ルール

問題と目的
 近年では定年による教師の大量退職,若手教師の大量採用の影響が学校の教師の経験年数の均衡を著しく崩している。そのため,熟練教師から若手教師への知識・技能の伝承がうまく図られずにいる。本発表では,学級開きに着目し,4月当初におけるグラウンド・ルールを明らかにする。このことは,新任または若手教師が4月当初の学級開きを円滑に行うために有意義であると言える。
 このような背景より,本研究では,教師の4月当初の学級開きからの学級におけるグラウンド・ルールが形成される過程を明らかにするとともに,①どのような指導をしているか,②指導の頻度の変容,③時間の経過による教師のアプローチの質の変化,によりグラウンド・ルールによる子どもの習慣化された行為の変遷の検討を行うことを目的とする。
方   法
調査時期:平成27年4月8日(水)~平成27年4月16日(木)の計7日間(土日を除く)。担任発表により初めて子供と出会う時点から調査を開始する。
調査対象:埼玉県内の小学校,第3学年37名。
授業者:当該校の教師経験7年目の教諭に委託。本小学校が教諭にとって,2校目の小学校である。
調査方法:教師の四月当初の学級に7日間入り,ビデオで録画し,その中で本発表として取り上げるものは初めの3日間。担任以外の授業(算数)や一斉指導ではないもの(掃除など)は除外した。
調査内容:朝,学級担任が来る前の子どもたち同士の係わり合い。学級活動,授業,休み時間,給食,掃除,放課後までの担任と子どもたちの関わり合い,声掛けなどの指導。これらをビデオ撮影や,授業への参観,担任へのインタビューにより調査,分析を行った。
分析方法:目的①②に対しては,内容を書き出しカウントする。目的③に対しては,どのようなルールが多いのかについて,a)教育一般,b)学校独自,c)学級独自といった分類を行う。
結   果
 一例として,4月8日(1日目)の教師の指導をTable 1に示す。文字化できない(態度等によるノンバーバル)指導も含まれるようになる。
考   察
 ①の一例として,4月8日(1日目)の教師の指導をTable 1に示す。②大部分は減少傾向にあったが,一部繰り返されるものがあった。③アプローチの仕方としてa)理由づけ,b)ほめ,があった。
今後の課題
 本調査により,4月当初のグラウンド・ルールが形成される概観は明らかになった。しかしながら,本研究によって実用可能なレベルまで可視化することはできていない。そのため,各種分類法による分析や,ほかの学年や経験年数による指導の違いを調査し,比較する必要があると考えられる。