The 58th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PE(65-88)

ポスター発表 PE(65-88)

Sun. Oct 9, 2016 1:30 PM - 3:30 PM 市民ギャラリー (1階市民ギャラリー)

[PE73] へき地学校における中学生の特徴1

教員への面接調査から

谷篤彦1, 大西恭子2, 井上果子3 (1.横浜国立大学, 2.東京学芸大学大学院連合学校, 3.横浜国立大学)

Keywords:へき地学校, 教員, 面接調査

問題と目的
 へき地学校とは「交通条件及び自然的,経済的,文化的諸条件に恵まれない山間地,離島その他の地域に所在する公立の小学校及び中学校並びに中等教育学校の前期課程並びに学校給食法第六条に規定する施設」と定義されている(文部科学省,2015)。
 へき地は都市部とは文化や環境が大きく異なるため,へき地学校の児童生徒には都市部とは異なる特徴が見られると推察される。特に思春期である中学生には性格や発達の差が大きいと考える。
 しかし,へき地の中学生の心理的特徴を明らかにした研究は少ない。そこで本研究では,へき地学校に勤務する教員を対象に面接調査をおこない,教員がとらえる「へき地学校における中学生の特徴」を明らかにすることを目的とする。
方   法
調査方法 半構造化面接法による調査を行った。面接場所は教員の勤務する中学校の相談室であった。面接時間は一人当たり30分~40分であった。
調査対象者 へき地学校の指定(3級)を受けているT県内の公立中学校に勤務する教員11名(男性6名・女性5名,年齢33歳~53歳)であった。
調査内容 調査対象者に,へき地と都市部それぞれの中学生を想起し,比較した上で違いについて語るように求めた。
結   果
調査結果の整理 調査実施者が,録音した音声から逐語データを書き起こした。「へき地学校における中学生の特徴」に該当する項目を抜き出して分類し,22のカテゴリーに整理した(表1)。
数量化Ⅲ類 「へき地学校における中学生の特徴」の22カテゴリーを分類するため,数量化Ⅲ類の解析を行った。その結果,固有値の高い順に第1軸と第2軸を採用した。それぞれの軸の固有値は第1軸が.49,第2軸が.24であった。カテゴリーのまとまりをより明確に解釈するため,Ward法によるクラスター分析を行い,解釈可能な3つのクラスターを抽出した(図1)。
考   察
 クラスターⅠは,学校での生活態度や生徒同士・教師との関係性に関するカテゴリーで構成されていたため,「学校生活」を表すと解釈された。クラスターⅡは,家庭での生活態度や遊びに関するカテゴリーで構成されていたため,「遊びや生活態度」を表すと解釈された。クラスターⅢは,保護者や家庭との関係性に関するカテゴリーで構成されていたため,「家庭環境」を表すと解釈された。
 このように「へき地学校における中学生の特徴」について,大きく3つの特徴が明らかとなった。