The 58th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PF(65-90)

ポスター発表 PF(65-90)

Sun. Oct 9, 2016 4:00 PM - 6:00 PM 市民ギャラリー (1階市民ギャラリー)

[PF79] 高校生における「居場所」感が心理的適応と学校適応に与える影響

工藤卓哉1, 加藤哲文2 (1.秋田県立男鹿海洋高等学校, 2.上越教育大学)

Keywords:高校生, 居場所

問題と目的
 文部省(1992)は,登校拒否(不登校)はどの児童生徒にも起こりうるという視点に立って,学校が児童生徒にとって自己の存在感を実感でき精神的に安心できる場所,すなわち「心の居場所」となることが重要であると指摘した。教育臨床や心理臨床の領域では,他者との関係の中で,個人が「ありのままでいられる」ことと「役に立っていると思える」こと,つまりは他者との関係に対する意味づけを「居場所」の心理的条件としていると指摘されている(石本,2010a)。
 石本(2010b)では,青年期(中学生・大学生)を対象に,「居場所」感が自己肯定意識や学校適応に与える影響を明らかにしている。しかし、高校以降は義務教育ではないこともあり,学校適応に関連した公的な支援は少なく,民間の居場所づくりにおいても高校生以降についてはあまりみられない。本研究では,石本(2010b)の研究では扱っていない高校生を対象として,「居場所」感と心理的適応,学校適応について調査を行うこととする。この調査により高校生の不登校や中途退学に対してどのような予防策や介入方法が考えられるか検討を行う。
方   法
調査時期・対象者 2014年11月にA県内の県立高校2校に在籍する生徒を対象とし,717名から回答を得て,615名(男子295名,女子320名)を分析対象とした(有効回答率85.8%)。
質問紙の構成 ①フェースシート:性別・年齢・学年を尋ねた。②居場所感尺度:石本(2010b)による「居場所感尺度」を用いた。本来感尺度6項目,自己有用感尺度7項目の計13項目5件法からなる。③自己肯定意識尺度:平石(1993)の「自己肯定意識尺度」を用いた。対自己領域,対他者領域の2つの領域から構成されている。計41項目5件法からなる。④学校生活享受感尺度:古市・玉木(1994)の「学校生活享受感尺度」を用いた。10項目5件法からなる。
結果と考察
 男女別に見た居場所感尺度の記述統計量についてTable 1に示す。「居場所」感が高校生では男子の方が女子よりも有意に高い結果となった。
 男子はクラス関係や恋人関係で女子よりも「居場所」感が高く,クラスでの「ありのままでいられる」ことが心理的適応に影響を与え,「役に立っている」と思えることが学校適応に影響を与えていた。男子の方が互いに尊重し合うpeer-groupの意識が高いことがいえる。
 「居場所」感と自己有用感および学校生活享受感との関係において,家族関係が影響を男子,女子とも与えていた。この結果は,家族で「役に立っている」「ありのままでいられる」ことが心理的適応や学校適応に大きく影響を与えているといえ,高校生へのサポートとして中学生と同様に家族関係を重視して接する必要があるといえる。