The 58th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PG(01-64)

ポスター発表 PG(01-64)

Mon. Oct 10, 2016 10:00 AM - 12:00 PM 展示場 (1階展示場)

[PG03] 第二反抗期が生起しない要因の検討

第二反抗期の経験認識のない大学生の自由記述から

福田佳織 (東洋学園大学)

Keywords:第二反抗期, 青年

問題と目的
 深谷(2005)はここ10年以上前から,いわゆる普通の円満な家庭環境の中で第二反抗期を持たない青年が増えていると指摘している。第二反抗期は,一般に12,13~15歳頃の青年期前期に,自我の覚醒や自己意識の高まりにより,親だけでなく,教師や周囲の大人,社会などの権威一般に対する反抗,攻撃,批判,嫌悪,いらだちとして現れる(矢野,1995)。一般的に第二反抗期を経験しないことは自立の遅れを意味すると考えられている。しかし,第二反抗期の生起には多様なルートがある(白井,1997)ことから,第二反抗期が生起しない背景も自立の遅れのみに起因し得ないと考えられる。そこで,本研究では,大学生を対象に,自身の第二反抗期の経験認識の有無,経験なしの場合は,それが生起しなかった理由を尋ね,これらの回答をカテゴリー化し,要因を検討する。
方   法
(1)対象者:大学2年~4年の男女250名
(2)調査期間:2008年~2015年
(3)手続き:講義「生涯発達心理学」を受講する学生に対して,第二反抗期について学習した後,自身の第二反抗期に関する質問紙(自由記述)を配布し,回答を求めた。質問内容は以下の通り。「あなたに第二反抗期(いつも親に対してイライラした,反抗したいと思った時期)はありましたか(ありますか)。あれば,それにまつわるエピソードを,なければ,その理由を自分なりに考えて自由に書いてください。内容は成績に関係しません。また,書きにくいことは,無理に書かなくて構いません。」
(4)分析:記述内容から,家族や教員等の大人に対して反抗的態度の表出やいらだちの経験認識の有無を判断しそれぞれの人数を算出した。また,第二反抗期経験認識がない学生の回答をカテゴリー化し,それぞれのカテゴリーにあてはまる回答数を算出した。個人で複数のカテゴリーにまたがる回答をしている場合は,それぞれのカテゴリーでカウントしている。
結   果
(1)第二反抗期の有無
 第二反抗期の経験認識の有無についてはTableの通りであり,経験認識なしの学生は全体の3割程度であった。
(2)第二反抗期の経験認識のない理由
 「その他」を含めて17のカテゴリーが作成された。各カテゴリーの数値は延べ回答数である(Figure)。
考   察
 第二反抗期の経験認識なしの学生は,その要因として自立の遅れをはじめネガティブな要因を挙げる者は少数派で,親子関係の良好さを示すポジティブな要因を多く挙げた。