The 58th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PG(01-64)

ポスター発表 PG(01-64)

Mon. Oct 10, 2016 10:00 AM - 12:00 PM 展示場 (1階展示場)

[PG46] 学習者が認知する教授者の教授観が学習意欲低下に及ぼす影響

高秋思1, 田中俊也2 (1.関西大学, 2.関西大学)

Keywords:教授観, 学習意欲

目   的
 本研究では,教授者の教授観を「教室での教えと学び」についての信念(哲学)から定義し,学習者が教授者のそれをどのように認知しているかが学習意欲の低下にどのように影響するかについて検討する。
方   法
調査時期と対象 2015年10月~11月,中国の大学生225名(一年生69名,二年生15名,三年生119名,四年生22名)。
調査方法 第一筆者の知人及び大学時代の担任教師を通じて中国の出身大学大学生を対象に質問紙調査を行った。
質問紙 「教室での教えと学び」(田中,1999),「意欲低下領域尺度」(下山,1995)。
結   果
1.学生が認知する教授者の教授観の構造
 田中(1999)で用いられた対立する教授観の哲学についての調査結果を分析した。6項目について因子分析(主因子法,プロマックス回転)した結果,二因子が抽出された。一方は「知識は転移する」「知識の抽象性」「知識の伝達可能性」であり,これらを合わせて「シンボルシステム的得点」とした。もう一方は「共同学習の効果」「旧知識の記憶の特定性」「知識の現実での適用可能性」であり,これらを合わせて「状況論的得点」とした。
 すべての被調査者について「シンボルシステム的得点」と「状況論的得点」それぞれの平均点を基準にして,それぞれの得点の高低(H・L)を決定した。
 両者の組み合わせでHLは「古典的教授観」,LHは「構成主義的教授観」,H Hおよび L Lは「中間的教授観」とした。その頻度を示したのが図1である。
2.各教授観と学習者の学習意欲低下の関連
 教授観の4タイプを独立変数とし,学習意欲低下の各因子をそれぞれ従属変数として一要因の分散分析を行った。それぞれの平均点を一覧できるように示したのが図2である。
 分散分析の結果「大学意欲低下」の因子においてのみ教授観の違いの効果が見られた(F =3.579, df =3, 221, p =0.015)。
考   察
 学習者が認知した教授観は古典的な教授観が最も多く,両者の得点とも低い中間的教授観が最も少なかった。
 教授観の認知と学習意欲低下の関連については,大学生活全般の意欲低下を最も引き起こしているのは構成主義的教授観だと認知している場合であった。
文   献
田中俊也(1999).知識獲得・運用に関する教師の哲学と教室におけるコンピュータ利用の関連 関西大学教職課程センター年報 13,37-91
下山晴彦(1995).男子大学生の無気力の研究 教育心理学研究 43,145-155