The 58th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PG(01-64)

ポスター発表 PG(01-64)

Mon. Oct 10, 2016 10:00 AM - 12:00 PM 展示場 (1階展示場)

[PG48] 高校生のSNSにおける対人ストレスの特徴

佐藤広英 (信州大学)

Keywords:SNS, 対人ストレス, 高校生

問題と目的
 総務省(2013)によると,小学校高学年から25歳までのSNS利用者の56.9%が,利用時にストレスを感じているとされる。従来,SNS利用時のストレスに関する研究が行われている(e.g.,佐藤・矢島,2015)。佐藤・矢島(2015)は,大学生のSNSにおける対人ストレス経験を,5つの状況(閲覧状況,プライバシー侵害状況,悪口中傷閲覧状況,投稿状況,疎外状況)ごとに測定する尺度を作成した。従来の研究では主に大学生が対象とされているが,高校生のSNS利用率も50%を超えており(総務省,2014),高校生においてもSNSにおけるストレス経験が多いと考えられる。そこで,本研究では高校生のSNSにおける対人ストレス経験について,SNS利用状況,学校生活に関する変数との関連からその特徴を検討する。
方   法
 調査対象者 クロスマーケティング社の消費者モニターの高校生を対象とするウェブ調査を実施した。有効回答は488名(女性278,1年生90名,2年生182名,3年生216名)であった。
 調査内容 (a)SNS上の対人ストレス経験:佐藤・矢島(2015)の20項目を用いた。最近1ヶ月における経験頻度を4件法で尋ねた。(b)SNS利用状況:主に利用するSNSを尋ね,そのSNSの平均利用時間,相互にリンクする人数を尋ねた。(c)学校生活に関する変数:学内友人数,そのうちSNSでもリンクする人数を尋ねた。また,河村(1999)の学校生活満足度尺度(承認・満足,被侵害・不適応)を用いた。
結果と考察
 各尺度は,下位尺度を構成する項目の平均値を算出し,各下位尺度得点とした。人数は対数変換した値を分析に用いた。SNS利用状況は,主に利用するSNSとしてLINE(n=226)とTwitter(n=228)を挙げた者のみを分析対象とした。SNS利用状況に関する変数と対人ストレス得点との相関係数を算出した(Table 1)。その結果,対人ストレス得点はTwitter利用時間と正の関連がみられ,LINE利用時間と閲覧状況と投稿状況において正の関連がみられた。次に,学校生活に関する変数と対人ストレス得点との相関係数を算出した(Table 1)。その結果,対人ストレス得点は,学内友人数とは関連がみられないが,SNSリンク友人数との間に正の関連がみられた。また,対人ストレス得点は,承認・満足得点とは関連がみられないが,被侵害・不適応得点との間に負の関連がみられた。すなわち,普段の学校生活で対人ストレスを経験する者は,SNSにおいても対人ストレスを経験していると考えられる。