The 58th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PG(01-64)

ポスター発表 PG(01-64)

Mon. Oct 10, 2016 10:00 AM - 12:00 PM 展示場 (1階展示場)

[PG49] サークル成員行動尺度作成の試み

サークル・コミットメントとの関連から

長峯聖人1, 外山美樹2 (1.筑波大学大学院, 2.筑波大学)

Keywords:サークル, サークル・コミットメント, 組織市民行動

問題と目的
 近年,大学サークルを対象とした研究は増えてきているが,その中で橋本・唐沢・磯崎(2010)は組織研究における組織コミットメントをサークルに適用し,サークル・コミットメント尺度を作成した。サークル・コミットメントは組織コミットメントとは異なる構造をしており,その上で橋本他(2010)はサークルを単なる組織とは異なる準組織であるとしている。
 橋本他(2010)は興味深い知見を示したが,測定しているのはあくまでコミットメントに留まっている。しかし,組織においては組織コミットメントが組織市民行動という向組織的な行動につながることが明らかになっている(西田,1997)ため,サークルにおいてもサークル・コミットメントから向サークル的な行動につながると予想される。しかし,未だ向サークル的な行動を測定する尺度が作成されていない。
 したがって本研究では,向サークル的な行動(サークル成員行動)を測定する尺度を作成し,サークル・コミットメントとの関連を検討する。また,サークル・コミットメントと関連が強いとされる集団凝集性も併せて検討を行う。
方   法
分析対象者 関東地方の大学生253名(男性135名,女子118名,平均年齢19.21歳,SD=1.31)
調査時期 2015年10月~2015年11月
調査内容 1. サークル成員行動尺度(予備調査に基づき作成),2. サークル・コミットメント尺度(橋本他,2010)を使用した。
結果と考察
サークル成員行動尺度の因子構造
 サークル成員行動尺度に対し,最尤法,Promax回転による因子分析を行った結果,4因子解が得られた。第1因子は“良い結果を残すための努力をしている”などの項目であり,“個人的な努力”と命名した。第2因子は“メンバーに対して思いやりを持って接している”などの項目であり,“成員との交流”と命名した。第3因子は“サークル内での整理整頓を実践している”などの項目であり,“成員への配慮”と命名した。第4因子は“自分から飲み会や遊びの予定を立てるようにしている”などの項目であり,“リーダーシップ”と命名した。いずれの下位尺度もα係数は十分な値であった(.79~.89)。各項目の内容ならびに因子パターンをTable 1に示す。
サークル成員行動尺度とサークル・コミットメント尺度との関連
 サークル成員行動尺度とサークル・コミットメント尺度(情緒的,集団同一視,規範的)との関連を見るため,相関係数(Pearsonの積率相関係数,以下同様)を算出した。
 サークル・コミットメント尺度(情緒的,集団同一視,規範的)において,“個人的な努力”“成員との交流”,“成員への配慮”,“リーダーシップ”の全てと有意な正の相関が見られた(順に,rs=.40~.59,ps<.01; rs=.46~.72,ps<.01; rs=.26~.53,ps<.01; rs=.30~.57,ps<.01)。
 この結果から,サークル成員行動とサークル・コミットメントの間には一定の関連があることが示された。