The 58th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PG(01-64)

ポスター発表 PG(01-64)

Mon. Oct 10, 2016 10:00 AM - 12:00 PM 展示場 (1階展示場)

[PG55] 教師の服装選択の意図について

小学校教員のインタビューを中心に

宮里萌望佳 (広島大学)

Keywords:印象形成, 服装

問題・目的
 人の印象を形成する非言語的的コミュニケーションの一つとして被服があげられる。神山(1999)は,非言語的コミュニケーションがもつ情報伝達機能の一つに被服をあげており,被服を「人々が互いに印象を形成し,他者をよりよく理解していこうとする対人認知過程(p.45)」での「着装者を知る手がかり(p.45)」としている。また,永野・小嶋(1989)は,服装による印象形成過程における優位性について検討を行っており,服装の特徴によって判断するパーソナリティ特性が異なることを明らかにしている。
 また,庄山・浦川・江田(2004)は,女子学生のリクルートスーツのシャツの色の違いが,服装メッセージにどのような影響を及ぼすかについて検討している。その結果,企業側は女子学生のシャツの色によって異なる印象を抱いており,女子学生は自己呈示の印象操作として,意図をもってシャツの色を選んでいることが明らかにされた。以上のことから,服装には印象形成と自己呈示の二つの機能が考えられ,この2つの機能から服装について検討する必要がある。
 教師の服装についても様々な研究が行われている。田村(2003)は,児童は好意をもつ服装の教師には「勉強がよくわかる」「相談に乗ってくれる」等評価していることを明らかにしている。また,高旗(1996)は,教師が意図をもって服装を選んでおり,服装のセンスの良さが,子どもとの親和的・友好的なコミュニケーションの成立に一役買っていることを明らかにしている。しかしこれらの研究では,印象形成と自己呈示の両側面からの検討はされておらず,子どもが教師の服装から抱く印象と教師が意図する服装メッセージとの対応は明らかではない。
 そこで本研究では,教師の服装選択の意図と児童生徒の教師に対する印象について検討するにあたって,教師の服装に対する意識や意図,実際の服装の例などを具体的に聴取し,服装の種類や選択の意図のカテゴリを得ることを目的する。
方   法
対象 博士課程前期に在学している現職の教員4名(男2名,女2名)および教員を目指す大学院生3名(男1名,女2名),合計7名であった。
調査内容 内容は3点についてであった。(1)担任をもつ一年の中での大切にしている日や時期,(2)その時の服装,(3)その服装を選択する意図を尋ねた。
手続き 上記の点を中心に半構造化インタビューを行った。面接時間は30分~45分程度であった。
結果と考察
 本研究では,小学校の教員へのインタビューを中心に分析・考察した。
 表1は小学校教員(男女各1名)を対象としたインタビューから,(1)大切にしている時期,(2)その時の服装,(3)その服装を選択する意図に関する回答例を整理したものである。
 この表1から,(1)大切にしている時期については始業式や入学式,終業式や卒業式などの1年の節目となる時期を大切であると考えていることが明らかになった。(2)その時の服装についてはグレーや黒のスーツであり,(3)その服装を選択する意図としては,保護者への意識や,子どもにとって大切な日であることへの意識,スーツの色について黒だと固くなりすぎるから,など相手意識がみられた。また,自分に気合いが入るからという自分への意識もみられた。今後,中学校教員や教育実習経験者についても同じように検討していきたい。