The 29th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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認定医審査ポスター

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認定医審査ポスター

Fri. Jun 22, 2018 9:50 AM - 4:50 PM ポスター会場 (7F イベントホール)

[認定P-27] 歯科および精神科の連携により痛みのコントロールを行った舌痛症の一例

○本田 実加1 (1. 日本大学松戸歯学部顎口腔機能治療学講座)

【目的】
 舌痛症は正常な検査所見にも関わらず舌に慢性的な灼熱感や疼痛を主症状とする疾患であるが,原因解明や治療方法確立がなされていない。今回,歯科および精神科との連携により痛みがコントロールされている舌痛症の一例を報告する。
【症例及び処置】
 78歳女性。2014年6月に3ヵ月前から舌尖のピリピリとした自発痛を主訴として本学付属病院痛み外来に来院した。会話・食事時には疼痛を認めず,初診時の疼痛強度は視覚的アナログ尺度(Visual Analog Scale:VAS,0mm:痛みなし,100mm:最大の痛み)にて80mmであった。視診・触診にて舌に異常所見を認めず,舌の細胞診ではカンジダ菌を認めなかった。本学付属病院痛み外来の医師にて血液検査を行い各種系統疾患は認めなかったため,痛み外来の精神科医と連携することとなった。精神科医により身体表現性障害の可能性が示唆されエチゾラムおよびパロキセチン塩酸塩水和物を処方したが症状は改善しなかった。12月来院時の痛みのVASは70mmであり,プレガバリンを追加し月に1度のペースで経過観察したがそれでも症状の変化はみられなかった。2015年8月デュロキセチン塩酸塩を処方し11月来院時には痛みは軽減した(VAS:30mm)。疼痛発現前は勤務していた。今後は日常生活の中で楽しみを持つよう指導している。
【結果と考察】
 現在も毎月痛み外来の歯科および精神科を受診しており,痛みが発現することもあるが痛みの強さは初診時と比較して軽減し,頻度も減少した。高齢女性に多くみられる舌痛症は,超高齢社会の我が国において増加傾向にある。医師と連携し痛みをコントロールすることがQOLを高めることにつながる。