The 29th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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シンポジウム

特別講演

学術用語シンポジウム
高齢者の定義 75歳は妥当か? -老年歯科医学からの検討-

Fri. Jun 22, 2018 3:40 PM - 5:00 PM 第2会場 (1F 小ホール)

座長:眞木 吉信(東京歯科大学衛生学講座)

[S3-3] 改善途上にある歯数の増加と高齢者の定義

○那須 郁夫1 (1. 北原学院歯科衛生専門学校, 2.日本大学客員教授)

【略歴】
1977年 日本大学松戸歯学部卒業,同大学助手
1985年 歯学博士(日本大学)
2005~2011年 日本大学人口研究所兼任所員
2006年 ドイツマックスプランク人口研究所客員研究員
2008~2017年 日本大学松戸歯学部教授(地域保健学・公衆予防歯科学)
2008~2010年 統計数理研究所客員教授
2017年 北原学院歯科衛生専門学校学校長(現在に至る)
2018年 日本大学客員教授(現在に至る)
日本老年歯科医学会専門医,指導医・常任理事
日本公衆衛生学会認定専門家
 日本老年学会による高齢者の定義変更の提言以後,「高齢者」の受け止め方は変わった。その都度の定義なしに「高齢者」と表現することは憚られ,本年2月の高齢社会対策大綱では「高齢期に特有の課題を抱える者」と括られた。
 私は日本老年学会のシンポジウムにおいて,歯の本数を元に討論に加わった。そこで,昭和50年までの「65歳」の歯数は,現在では「80歳」に相当すること。この改善傾向は継続中であること。咀嚼に必要な歯数,「20本」の年齢は,昭和32年では男性が女性より7歳優位であったが,その後の女性の改善により,現在では男女差はなくなったことなどを指摘した。提言は「75歳」とされた。
 歯数が口腔機能の維持(特に咀嚼)の基本であることは,8020運動により国民に広まった。十分な口腔機能は,健康寿命の延伸につながる。さすれば,歯数が持つ5歳のアドバンテージは,高齢期の諸課題のうち,健康の維持増進と社会参画の拡大に資することとなろう。