The 34th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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認定医審査ポスター

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認定医審査ポスター5

Fri. Jun 16, 2023 12:00 PM - 1:30 PM ポスター会場 (1階 G3)

[認定P-25] 経口摂取困難になった超高齢者に対し多職種連携による介入を行った症例

○岡田 光純1、水口 俊介1 (1. 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 高齢者歯科学分野)

【緒言・目的】
 要介護高齢者は予備力が低下しており,様々な要因で経口摂取困難になり易い状況にある。今回,入院を契機に経口摂取困難になった患者に対し,多職種連携による経口摂取の再確立を目指し栄養支援を行った症例を経験したので報告する。
【症例および経過】
 93歳,女性,身長148cm,体重45kg,BMI20.5,要介護3。アルツハイマー型認知症,誤嚥性肺炎の疑い,高血圧症の既往あり。 2020年8月に義歯不適合を主訴に当科初診となり,義歯調整を中心とした口腔管理を行っていた。初診時,虚弱であったが独歩可能なADL(FIM:64)で,食事は常食を摂取していた。2022年2月に発熱があり他院に入院となり,当科の介入は一時中断となった。入院中に精査をしたが発熱の原因はわからなかった。退院後より食事量が減少し,経口摂取困難を主訴に2022年5月に当科再診となった。再診時,3ヶ月で6kgの体重減少(BMI17.4)とADLの低下(FIM:40)を認めた。下顎顎堤粘膜と頬粘膜に発赤及び潰瘍,偽膜を認め且つ細菌検査にてカンジダ陽性であり,義歯不適合と口腔カンジダ症の診断で義歯調整と口腔清掃指導,抗真菌薬の処方を行った。 また,嚥下困難感の訴えがあり嚥下内視鏡・造影検査を行った。検査時,食塊形成が不良で且つ液体の深い喉頭侵入を認めたため,食形態はペースト食,水分は薄いとろみの付与が推奨された。上記を踏まえ,在宅及び通所施設での安全な食形態について家族とケアマネージャーに指導した。また食事のみでは栄養摂取量の不足が予想されたため,主治医に情報提供し経腸栄養剤の処方を依頼した。その後,体重は回復傾向にあり刻み食を摂取できるようになった。現在もフォローを継続している。なお,本報告の発表について患者代諾者から文書による同意を得ている。
【考察】
 要介護高齢者は予備力が少なく,種々の要因で経口摂取困難に陥り易い。特に本症例の様に経管栄養などの代替栄養法を使用していない者にとって,経口摂取困難は低栄養に直結し易く,その後のQOL低下の要因になり得る。そのため,全身状態を考慮し多職種連携による早期の対応が求められる。その対応としては口腔管理や食事調整,環境調整があるが,これらは医科との連携のみならず,家族やケアマネージャーなどの介護者とも連携して行う必要があると考える。
(COI 開示:なし)
(倫理審査対象外)