The 34th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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認定医審査ポスター

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認定医審査ポスター5

Fri. Jun 16, 2023 12:00 PM - 1:30 PM ポスター会場 (1階 G3)

[認定P-28] 誤嚥性肺炎後に嚥下内視鏡検査を受け, 多職種連携により口腔機能と栄養状態を改善した脳性麻痺患者の一例

○青嶋 美紀1、石川 茂樹1 (1. 石川歯科医院)

【緒言・目的】 石川歯科では重度精神障がい者入所施設のJ病院に対し歯科医師, 看護師, 栄養士, 言語聴覚士, ケアマネ等の多職種連携チームを結成し摂食嚥下評価や栄養指導を行っている。患者2割を占める脳性麻痺は痙直型, アテトーゼ型, 運動失調型, 混合型などに分類され, いずれも運動障害や嚥下障害に対するチーム医療の重要性が提唱されており今回, 脳性麻痺を伴い誤嚥性肺炎を発症した患者に対し多職種連携により口腔機能と栄養状態が改善した一例を経験したので報告する。なお, 本報告の発表について患者本人から文書による同意を得ている。 【症例および経過】 患者は78歳, 体重48kgの男性。脳性麻痺(混合型)のため全介助により食事(全粥軟菜)摂取されている。既往歴は, 側湾症,脊椎管狭窄症, 高血圧症, 肝機能障害, 腎機能障害。2年前より食事中にムセが多くなり誤嚥性肺炎を複数回発症していた。血液検査にて低栄養状態を認めたため(T6.4g/dL, ALB3.1 g/dL, γ-GT14U/L, AST37U/L, ALT28U/L ,Che154U/L2021)VEの嚥下評価を実施した。RSST:0点, VEにて梨状窩の唾液貯留, 咽頭収縮不良, 喉頭挙上不良, 嚥下反射遅延が観察され, 食前の嚥下体操, 舌伸展運動の実施, とろみ付けペースト食への変更, 交互嚥下, 嚥下後の咳などを各担当者に指導した。食事観察と情報交換を行い, 患者に嚥下を意識させるために一口量を減らし食事時間を約20分から30分間へと延長介助した。3週間毎にVEの再評価し約3か月後にはムセの回数や食べこぼし量が減り, 体重増加と血液検査の改善(Hb12.6g/dL, TP6.7g/dL, ALB3.8 g/dL)が認められ患者の希望する食形態にした。また, 言語聴覚士との発語訓練を週1回開始した。 【考察】 多職種連携チームの嚥下評価は迅速かつ多様な対応が可能であり長年習慣化されていた食事形態や摂食嚥下方法の改善に加え患者のモチベーションも変化したことが口腔機能や栄養状態を向上したと考えられる。今後の課題については高齢化に伴う多重疾患や身体機能低下に対する診療の難易度上昇や指導内容の再検討が必要であると考えチーム医療やリハビリテーションの重要性をふまえ治療していきたい。 (COI開示:なし, J病院倫理審査委員会より付議不要の返答があった)