The 34th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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摂食機能療法専門歯科医師審査/更新ポスター

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摂食機能療法専門歯科医師更新ポスター

Fri. Jun 16, 2023 11:30 AM - 6:00 PM ポスター会場 (1階 G3)

※発表なし掲示のみ

[摂食更新P-2] 療養病棟における嚥下回診への取り組み

○林田 有貴子1 (1. 有貴歯科クリニック)

【目的】 従前より療養病棟の一部において、極めて長期間の中心静脈カテーテル留置がなされているということが問題視されている。その背景には療養病棟入院基本料の医療区分において、中心静脈栄養を実施している状態は医療区分3に該当し、より高点数の基本料算定には区分3の患者の割合が高い必要があるため、あえて抜去していないケースがあるのではないかと考えられている。 令和4年度の診療報酬改定では、摂食嚥下機能または嚥下機能の回復に必要な体制を有していない場合には、中心静脈栄養を実施している状態にある患者について区分3ではなく区分2の点数を算定するという条件が追加され、体制として嚥下内視鏡検査もしくは嚥下造影検査の実施体制が必要となった。それと並行して摂食嚥下支援加算についても見直しがあり、摂食嚥下支援チームにより嚥下内視鏡検査または嚥下造影検査を行い、結果に基づいたカンファレンスの開催、支援計画書の作成、経口摂取回復の実績報告をすることで3段階の摂食嚥下機能回復体制加算の算定も可能となった。 嚥下内視鏡検査の実施体制がない療養病棟からの依頼で、歯科医師として摂食嚥下支援チームに参画したので報告する。
【方法】  摂食嚥下支援チームへの参加要請があった病院は病床数183床で、そのうち療養病棟が82床を占める。当病院では以前から看護部に食支援チームがあり、対象者を選別し摂食機能療法の実施および看護職員への現場教育が行なわれていたが、今回の改正により歯科医師がチームに参加することとなった。チームは医師、看護師2名(うち1名は専任)、管理栄養士、歯科医師2名(うち1名は摂食機能療法専門歯科医師)で構成され、嚥下回診を月に1度行う。チーム内で歯科医師は嚥下内視鏡検査にて評価診断を行い、それを元にカンファレンスを行なった。対象者は主治医が摂食機能療法の必要性を認めた患者、または摂食嚥下支援チームが摂食機能療法の必要性を認めたのちにスクリーニング検査を行い、主治医へ報告・相談の後、主治医が摂食機能療法の必要性を認めた患者とした。また、療養病棟だけでなく、急性期一般病棟、特殊疾患病棟の入院患者も対象とした。
【結果と考察】  嚥下内視鏡検査を実施して経口摂取の支援を行ったことで、嚥下回診開始後半年で中心静脈栄養から4名の患者が経口摂取へと移行し、在宅や元の施設への退院が可能となった。適切な評価を行い、チーム内だけでなく病棟職員とも情報の共有を行なうことで、安心して経口移行を行なうことができた。今後は、摂食機能療法専門歯科医師ではない歯科医師へ嚥下内視鏡検査を含めた摂食嚥下リハビリテーションについての教育を行うことで、対象病院の拡大、経口摂取への移行、ひいては在宅や施設への退院が推進できるよう期待する。 COI 開示:なし 倫理審査対象外