一般社団法人日本老年歯科医学会 第34回学術大会

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優秀ポスターコンペティション

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優秀ポスター賞コンペティション
地域歯科医療部門

2023年6月16日(金) 17:00 〜 18:00 ポスター会場 (1階 G3)

[優秀P地域-2] 後期高齢者の主観的健康感ならびに生活満足度と口腔環境・食事状況・生活機能・全身状態との関連について

○齋藤 寿章1、富永 一道1、前田 憲邦1、西 一也1、清水 潤1、井上 幸夫1 (1. 一般社団法人島根県歯科医師会)

【目的】
 後期高齢者の主観的健康感ならびに生活満足度に関連する口腔環境・食事状況・生活機能・全身状態について島根県後期高齢者健診・歯科口腔健診突合データ(以下突合データ)を用いて探索的に解析することが目的である。
【方法】
 令和2年度の突合データ7462名のうち欠損値を除外した2548名を解析対象とした。[解析1]主観的健康感の評価は健康状態の設問より,よくない/よいの2値変数とした。生活満足度の評価は毎日の生活満足度の設問より,不満/満足の2値変数とした。主観的健康感ならびに生活満足度と検討対象項目とのクロス集計後χ2検定を行った。[解析2]主観的健康感ならびに生活満足度を目的変数,解析1の有意な関連項目をそれぞれ説明変数としてステップワイズ法によるロジスティック回帰分析を行い変数選択した。解析の有意水準は5%とした。[解析3]解析2で選択された変数を中心に因子分析後,共分散構造分析を行いパス図の作成を試みた。
【結果と考察】
 対象者の年齢構成比と男女比は,70歳代/80歳代:56%/44%,男/女:45%/55%であった。[解析1の結果]主観的健康感との関連が有意であった変数は口腔感覚(乾燥)の他27の変数であった。生活満足度との関連が有意であった変数は客観的咀嚼能力の他27の変数であった。[解析2の結果:()内数字はOR]主観的健康感を目的変数として選択された説明変数は口腔感覚(乾燥1.72)・通院している疾病や症状(心臓病1.65・がん2.12・関節痛1.82)・服薬数(6以上1.83)・食事満足度(おいしくない1.48)・食事速度(遅い1.61)・生活満足度(不満足9.12)・運動機能(低下1.65)・HbA1c(8.0%以上3.38)であった。生活満足度を目的変数として選択された説明変数は客観的咀嚼能力(十分噛めない1.64)・食事満足度(おいしくない1.91)・主観的健康感(よくない9.18)・運動機能(低下2.34)・認知機能(低下1.39)・ソーシャルサポート(相談相手いない1.75)であった。[解析3の結果]観測変数と潜在変数との関連を示すパス図を作成した。[考察]主観的健康感と生活満足度は心身の健康状態を表し,咀嚼と咬合,食事満足度,生活機能,疾病状況から影響を受けていることが示唆された。
(COI:開示なし)(島根県歯科医師会倫理委員会承認番号:第17号)