一般社団法人日本老年歯科医学会 第34回学術大会

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日本老年学会合同ポスターセッション

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日本老年学会合同ポスターセッション

2023年6月16日(金) 16:30 〜 17:30 合同ポスター会場 (1階 G2)

座長:
戸原 玄(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科摂食嚥下リハビリテーション学分野)
白野 美和(日本歯科大学新潟病院訪問歯科口腔ケア科)

[GP4-2] 医療・介護関連肺炎発症におけるOral Assessment Guide合計得点のカットオフポイントの検討

○山口 摂崇1,2、村松 真澄3、山中 大寛2、武田 佳大2、越智 守生2、三浦 宏子4 (1. 札幌市保健所 健康企画課 歯科保健担当係、2. 北海道医療大学 歯学部 口腔機能修復・再建学系クラウンブリッジ・インプラント補綴学分野、3. 札幌市立大学 看護学部、4. 北海道医療大学 歯学部 保健衛生学分野)

【目的】
 北海道内の介護老人福祉施設入所者における医療・介護関連肺炎 [Nursing and healthcare-associated pneumonia (NHCAP)]発症にベースライン時のOral Assessment Guide(OAG)の合計得点が関連することを我々の先行研究で報告した。本研究ではCOVID-19流行以前のNHCAP発症におけるOAG合計得点のカットオフポイントを算出することを目的とした。
【方法】
 本研究は1年間の前向きコホート研究である.北海道内の介護老人福祉施設のうち本研究への参加協力を得られた9施設で実施した(調査期間:平成30年7月~令和2年2月)。除外基準はベースライン調査後1年間に歯科治療介入があった者とした。従属変数をベースライン調査1年経過後の肺炎発症,説明変数をベースライン時のOAGの合計得点とした。ROC曲線をArea Under the Curve(AUC)及び95%信頼区間[Confidence interval(CI)]で評価した。またOAGの合計得点のうち感度が最大かつ1-特異度が最少となる得点をカットオフポイントと設定した。なお,統計解析ソフトはSPSS Ver24を使用した。
【結果と考察】
 ベースライン調査対象者数は267名,1年経過後のドロップアウト者数は72名(ドロップアウト率27.0%)であった。除外基準該当者11名を除き,解析対象者は184名(男性31名,平均年齢85.0±8.3歳, 女性153名,平均年齢87.9±6.1歳)とした。解析対象者のうち,ベースライン調査1年経過後のNHCAP発症は8名(男性6名,女性2名)であり,ベースライン時のOAGの合計得点はAUC : 0.974,95%CI:0.946 - 0.980であった。この結果から,ベースライン時のOAGの合計得点はNHCAPの発症の判別能が高いことが示唆された。また,ベースライン調査1年経過後のNHCAP発症において,ベースライン時のOAGの合計得点が15.50で,感度が最大かつ1-特異度が最少となった。よって,本研究対象者において,ベースライン時のOAGの合計得点が16点で1年経過後のNHCAP発症のカットオフポイントになっていることが示唆された。
(COI開示:なし)(北海道医療大学 倫理審査委員会 承認番号 第178号)