The 34th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター発表)

一般演題(ポスター発表) » [ポスター発表1] 実態調査

ポスター発表1
実態調査

Sat. Jun 17, 2023 10:00 AM - 10:30 AM ポスター会場 (1階 G3)

座長:尾崎 由衛(歯科医院 丸尾崎)

[P05] 当科における口腔領域蜂窩織炎による入院管理症例の臨床的検討

○秀島 能1、森田 奈那1,2、大矢 珠美1、潮田 高志1 (1. 多摩北部医療センター 口腔外科、2. 東京歯科大学オーラルメディシン・病院歯科学講座)

【目的】 WHOは65歳以上を高齢者と定義しており、2022年日本人の平均寿命は女性87.4歳、男性81.4歳と年々延長している。口腔外科を受診する年齢層も高齢化が進み、歯性感染、顎骨炎等から蜂窩織炎を発症して、緊急入院となる患者が増えてきている。今回われわれはこれまでの当科における若中年層(65歳未満)と高齢者(65歳以上)の蜂窩織炎緊急入院患者について後ろ向きに検討し比較したので報告する。 【方法】 2019年4月より2021年3月までに当科を受診し、口腔領域の蜂窩織炎の診断下に入院加療が必要と判断された52症例を対象とした。調査項目は年齢、性別、既往、原因疾患、炎症部位、血液検査値、治療内容、入院期間とし、診療録から後ろ向きに検討し比較を行った。 【結果と考察】 平均年齢は高齢者では79.8歳、若中年層35.3歳であり、全体では58.0歳(8〜93歳)であった。症例は高齢者:24例(男性7例、女性17例)、若中年層:28例(男性13例、女性15例)であった。既往では、高齢者は骨粗鬆症、高血圧、脳血管疾患等を有し、若中年層と比較し複数の全身疾患を有していた。原因疾患は、高齢者、若中年層共に歯性感染が9割ほどと最も多く、高齢者では骨髄炎に起因する炎症の割合も多く認められた。炎症部位は高齢者、若中年層で頬部が7割ほどで最も多く、次いで顎下部3割ほどであった。治療内容は高齢者、若中年層共に口腔内切開が最も多く、若中年層と比較し高齢者は全身状態を考慮し抗生剤のみの割合が多かった。入院時の白血球数の平均は、高齢者9.1×1000/μl、若中年層10.9×1000/μlであり、抗生剤投与期間の平均は、高齢者5.4日、若中年層4.1日、入院期間の平均は高齢者6.5日、若中年層は5.3日であった。今回の調査では、高齢者は若中年層と比較し重篤化しやすい傾向があった。高齢による免疫力の低下や組織の脆弱性、組織間隙への波及のしやすさなどが原因と考えられる。炎症の重篤化とPerformance Statusの低下が、抗生剤投与期間と入院期間の延長つながっていると考えられた。高齢者における重篤な炎症性疾患への対応は、抗生剤の投与や消炎手術のみととどまらず、栄養状態、脱水の改善など全身状態を軸とした加療が必要となると考える。 COIなし