日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-DS 防災地球科学

[H-DS27] 津波とその予測

2015年5月27日(水) 18:15 〜 19:30 コンベンションホール (2F)

コンビーナ:*林 豊(気象研究所)、行谷 佑一(独立行政法人 産業技術総合研究所 活断層・火山研究部門)

18:15 〜 19:30

[HDS27-P02] スタンドアロン型津波警報器の試作

*勝間田 明男1林 豊1宮岡 一樹1対馬 弘晃1馬場 俊孝2 (1.気象研究所、2.徳島大学)

キーワード:津波警報器, 計測震度, マグニチュード, 強震動継続時間

ゆれを感じたらすぐ高所に移動することは,最も早い津波からの避難方法の一つである.大地震の後には広域の停電などもあり,テレビ・ラジオを通じた情報収集が難しくなることもある.もし,地震直後にその地点のゆれから,津波来襲の危険性を判定する装置があると,津波避難の助けになると考えられる.
強い地震動があるということは,震源断層が近くまで伸びていることを意味する.また,強震動の継続時間が長いことは、地震の規模が大きいことを意味する.もし,強震動が30秒以上続くようであれば,地震のマグニチュードは7.5以上である可能性がある.また,もし強震動が60秒以上続くようであれば,マグニチュードが8.5かそれ以上である可能性がある.強震動の継続時間からのマグニチュード推定は,あまり高い精度が望めるものではなく規模の推定もかなり大まかにはなるが,もし停電などで他の情報が全く得られないような環境であれば,貴重な情報になりうる.また,加速度を積分して得られる速度振幅からは従来の方法に基づくマグニチュード推定もある程度可能であると考えられる.
現在では安価なMEMSセンサーが容易に入手可能である.また,多くの小型計算機もある.現在,我々は,MEMSセンサー・ワンチップマイコン・小型コンピューターなどを使った津波の可能性を知らせる単独で機能する機器の試作を行っている.
一方,震度自体もその装置の出力の一つとして考えている.震度は世界的にみれば人の感覚に基づいて測られている.日本で行われているように,計測震度がネットワークを通じて地震直後に収集できるようであれば,被災地域の早期把握に役立つと見られる.既に,計測値と改訂メルカリ震度との関係に関する報告がいくつもあり,それらを用いて改訂メルカリ震度相当値を示すことは容易である.震度それ自体も津波避難の基準として使うことができる(林・他,当大会).チリでは,そのように震度に基づいた避難がなされている.日本でもかなり以前には,人が報告する震度に基づき直接津波警報が出されていた.同じような方法が,地震観測網が十分ではない国では適用可能と考えられる.震度を計測する機器はそのような場合にも役立つものであると考えられる.

謝辞
計測部の構成において、「痛い日記」・「はじめてのPIC」などのWEBページを参照した。この調査は,部分的にSATREPSプロジェクト「津波に強い地域づくり技術の向上に関する研究」の一環として行っている.