日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 G (教育・アウトリーチ) » 教育・アウトリーチ

[G-04] 小・中・高等学校の地球惑星科学教育

2015年5月24日(日) 09:30 〜 10:45 102B (1F)

コンビーナ:*畠山 正恒(聖光学院中学高等学校)、座長:畠山 正恒(聖光学院中学高等学校)

10:15 〜 10:30

[G04-04] 地震発生を模する「2次元バネブロックモデル」アナログ教材の製作と解析

*岡本 義雄1 (1.大阪教育大学)

キーワード:バネブロック, G-R則, 地震, 教育, 高校

地震の発生の仕方がG-R則に則って発生していることは専門家にとっては自明のことであるが,
一般の人々にその内容がよく理解されているようには見えない.「想定外」とひとくくりにされて
しまう巨大災害への畏れと様々な誤解のもとがここに強く根ざしていると筆者は考えてきた.
そこで筆者はこのG-R則の内容や意味を中高生や一般の人にも理解するきっかけになる教材モデルとして碁石モデル(大塚,1971)や砂山モデル(Bakほか,1989)などのアナログないし実習教材を開発してきた(岡本,1998など).今回取り上げるのは,バネブロックモデルとして古典的なBurridge-Knopoffモデル(1967)である.1次元のアナログモデルはすでに加藤(2007)に詳しいので,ここではそれを2次元に拡張させたモデルを製作してみた.材料はブロックとして厚鉄板(60mm四方,12mm厚)を鉄バー素材から切り出して整形したものを用いた.またバネとしては市販の細いカラーゴムを用いた.各ブロックはおのおのの周囲4面に?型のフックがネジ止めされ,そのフックで四方の最近接ブロックに輪ゴムを用いて接続される.またブロック全体を駆動する機構として,ブロック系全体を正方形で囲む木枠を製作し,この木枠にシステムの境界を示すゴムを接続する.いわば,リジッドな境界を持つB-Kモデルという概観である.この木枠を床に置いて,ゆっくりと1方向に移動させ,どれかのブロックが滑った時点で木枠移動を止め,短時間に連続的に滑ったブロック数を数え,統計を取るということにした.この移動させるブロックのスリップを監視する部分は,高校生でも充分興味を持って観察させることが可能である.本教材は鉄板の製作過程を除くと,組み立ても大変簡単で短時間でできる.装置を教室の床に置いて生徒とわいわい楽しみながら実習ができる.解析結果もすぐ出せるため,G-R則に代表される地震発生の統計的傾向を模する教材としては興味深いと考えている.また現在の予備的な実験では,実験結果の統計がG-R則との強い一致を示していることは実験に参加した生徒の満足度を著しく高めた.この装置を用いた実験の動画や統計の解析などの詳細についても本講演で紹介する予定としている.