日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-GI 地球科学一般・情報地球科学

[M-GI37] 情報地球惑星科学と大量データ処理

2015年5月27日(水) 18:15 〜 19:30 コンベンションホール (2F)

コンビーナ:*豊田 英司(気象庁予報部数値予報課)、若林 真由美(基礎地盤コンサルタンツ株式会社)、野々垣 進(独立行政法人 産業技術総合研究所 地質情報研究部門 情報地質研究グループ)、豊田 英司(気象庁予報部数値予報課)、村田 健史(情報通信研究機構)、寺薗 淳也(会津大学)、堀 智昭(名古屋大学太陽地球環境研究所 ジオスペース研究センター)、大竹 和生(気象庁気象大学校)、堀之内 武(北海道大学地球環境科学研究院)

18:15 〜 19:30

[MGI37-P02] NICTサイエンスクラウドの広域分散型ストレージにおけるセキュリティの取り組み

*渡邉 英伸1鈴木 豊2村永 和哉2鵜川 健太郎2村田 健史1 (1.独立行政法人 情報通信研究機構、2.株式会社セック)

キーワード:データ指向科学, クラウドサービス, 広域分散型ストレージシステム, 情報セキュリティ, オープンデータ

近年,科学分野においてオープン化やグローバル引用・参照化に関する国際的な取り組みが進められており,科学データがインターネット上で誰でも参照可能なサービスまで提供されてきている.膨大な科学データが扱える中,クラウドコンピューティング技術によって新しい知見獲得や分野横断的研究を発掘するデータ指向科学が期待されており,地球惑星情報学でも議論が活発である.
一方,データ指向科学の成功事例は非常に少なく,その理由のひとつに,多くの科学研究者が巨大なデータ量を安心かつ安全に保管し,そのデータにいつでもアクセスできる無償のストレージや大量の高性能計算機をいつでも無償で占有して利用できる処理環境が少ないことが挙げられる.特に,科学研究者がクラウドストレージサービスを利用しない一番の理由は,情報漏えいなどセキュリティに不安を感じている点であり,文部科学省平成25年度国家課題対応型研究開発推進事業「コミュニティで紡ぐ次世代大学ICT環境としてのアカデミッククラウド」で実施されたアンケート調査結果でも示されている.
情報通信研究機構(NICT)は,観測データやシミュレーションデータなど,あらゆる科学データを収集・蓄積すると同時に解析環境も提供するデータ指向科学研究向けのクラウドシステム(NICTサイエンスクラウド)を構築している.NICTサイエンスクラウドは,国内5地区(東京, 名古屋,京都,大阪,沖縄)にあるデータセンターに分散配置した計算機を10GbpsのL2ネットワーク(JGN-X)で接続し,オープンソースの広域分散ファイルシステムであるGfarmを用いて約500のCPUコア,約3PBのストレージを有した広域分散型のコンピューティング環境を提供しており,利用者は無償で利用できる.
本発表では,Gfarmを用いたNICTサイエンスクラウドの広域分散型ストレージにおけるセキュリティの取り組みを紹介する.特に,ある時刻においてそのデータは本物であることをいつでも検証できるアプリケーションやデータの操作イベント(作成、更新、削除など)をいつでも追跡できるシステムについて報告する.加えて,個々の分野を越えたデータ指向科学に貢献する事項について議論する.