日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-TT 計測技術・研究手法

[H-TT29] 環境リモートセンシング

2015年5月24日(日) 11:00 〜 12:45 101B (1F)

コンビーナ:*作野 裕司(広島大学大学院工学研究院)、近藤 昭彦(千葉大学 環境リモートセンシング研究センター)、長谷川 均(国士舘大学 文学部)、桑原 祐史(茨城大学 広域水圏環境科学教育研究センター)、石内 鉄平(明石高専 都市システム工学科)、座長:桑原 祐史(茨城大学工学部都市システム工学科)

12:00 〜 12:15

[HTT29-12] Landsat-8データを利用した湖沼の富栄養化指標モニタリング手法開発

*作野 裕司1 (1.広島大学)

キーワード:衛星, ランドサット, 富栄養化, 湖沼, モニタリング

近年,行政から国民への湖沼水質情報の伝達手段として、安価で分かりやすい方法が求められている。安価で分かりやすい水質情報を国民へ提示するためのツールとして、衛星データを使ったモニタリングが期待されている。しかし、我が国における湖沼の水質モニタリングツールとして、衛星データが継続的に利用される例は極めて少ない。この理由として、衛星の解像度や回帰日数、水に対する感度の問題があった。一般に、我が国の湖沼の栄養状態は全窒素(TN)や全リン(TP)などの環境指標で評価されるが、衛星から推定できる水質項目はクロロフィルa(Chl.a)や懸濁物質(SS)などに限られる。一方湖沼のChl.aからTPやTNを推定し、富栄養化度を算出する修正富栄養化指標(M-TSI:Modified Trophic State Index)と呼ばれる手法(相崎ほか、1981)がある。
 そこで、本研究では2013年2月に打ち上げられた高解像度(30m)で高感度(12bit)のLandsat-8/OLIデータを使って、TSIを自動算出、マッピングする手法を開発する。テストサイトして、宍道湖・中海(島根県と鳥取県)が選ばれた。衛星データは2013年4月から2014年7月までの15シーンである。まず、OLIデータからのChl.a推定は、比較的簡単に大気補正が可能なLCI(Linear Combination Index)法を用いた。LCI法に使われるバンドはOLIバンド2、バンド3、バンド5である。また、エアロゾルの波長依存を示すオングストローム指数は、-1と0.3が設定された。一方、別途作成された我が国の湖沼のTP/TNとChl.aの関係からM-TSIが計算された。また、Landsat-8データはMatlabソフトウェアのプログラミング機能を使ってヘッダー情報から対象地域を切り出し、簡易的なレーリー散乱補正が施された。最終的には、LCIからChl-aを経て、TSIが推定される自動マッピングシステムが開発された。得られた宍道湖・中海のTSI分布は特に宍道湖西部の地域で非常に高い値を示していることが判明した。