日本地球惑星科学連合2015年大会

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ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC45] 活動的火山

2015年5月27日(水) 18:15 〜 19:30 コンベンションホール (2F)

コンビーナ:*青木 陽介(東京大学地震研究所)

18:15 〜 19:30

[SVC45-P15] 宇宙からの西之島火山活動監視

*福井 敬一1桜井 利幸2安藤 忍3 (1.気象研究所火山研究部、2.気象庁地震火山部東京航空路火山灰情報センター、3.気象研究所地震津波研究部)

キーワード:西之島, 火山活動監視, 噴煙, 地表面温度, 衛星リモートセンシング

小笠原諸島西之島において2013年11月20日,海上自衛隊および海上保安庁によって噴火,新島の形成が確認された.1年以上が経過した2014年1月現在,いまだその活動は衰えを見せず,島の面積の拡大が続いている.西之島の火山活動の監視のため,海上保安庁や自衛隊によって航空機から月1回以上(2014年3月までは月数回)の観測が行われ,島の面積の把握,火口や溶岩流出地点の把握,噴火様式の観察,熱映像観測が行われており,国土地理院によって2014年1月までに5回地形計測が行われている.また,商用高分解能レーダー衛星TerraSAR-Xによって月1回程度(噴火開始当初は月3回程度)撮像され,地震研究所により島の面積や噴出率,噴出量の推移がまとめられ,これらの観測データから西之島における溶岩流出活動の時間推移が把握されている.また,地震研究所による父島における空振観測が行われている.火山ガス放出量の観測は2014年1月に気象庁が実施したのみであり,岩石資料が採取されたのも2014年6月の1回のみである.
衛星データは西之島のような遠隔地にある火山において,多様なデータを定期的に取得することができ,西之島の観測においても,ALOS-2やTerra,LANDSAT-8など多くの衛星が利用されている.特に,LANDSAT-8などの地球観測衛星のデータは広く一般に公開され,データ取得後,データ公開サイトを通じて,短時間に無償で利用可能となっている.
我々は,各種衛星搭載センサデータを利用して火山から噴煙として放出される熱エネルギー,地表面温度,火山噴出物の反射特性,陸域面積や地表面状態の時間変化を抽出し,火山活動の推移の把握を試みている.
10~15mの空間分解能を有する,LANDSAT-8/OLIとEO-1/ALIのパンクロマチックバンド,およびTerra/ASTERの可視バンドの昼間の画像から噴煙の影を利用して求めた噴煙高度と火口からの距離の関係をplume rise法(鍵山, 1978)に適用した火山から噴煙として放出される熱エネルギーの推定, LANDSAT-8/OLI,EO-1/ALI,EO-1/Hyperion,Terra/ASTER,MTSAT-2の赤外バンドデータからの地表面温度の推定,ALOS-2/PALSAR-2による陸域面積の変化の抽出を行っている.これらの時間変化と地震研究所や海上保安庁,国土地理院が航空写真やTerraSAR-Xデータから推定している陸域面積の拡大率あるいは溶岩流出量と比較した.地震研究所によって求められた溶岩流出率は2014年6~9月頃に一時的に低下した後,増大し,その後次第に減少しているが,MTSAT-2の3.8μmバンドから推定した熱活動においても2014年6~9月頃の低下とその後の活発化が認められた.Plume rise法で求めた噴煙活動の推移からは,計測事例の不足から2014年6~9月の低下傾向ははっきせず,活動当初から1年以上にわたりほぼ同じような規模で推移している.