日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-AS 大気科学・気象学・大気環境

[A-AS21] 大気化学

2015年5月27日(水) 16:15 〜 18:00 201B (2F)

コンビーナ:*澤 庸介(気象研究所海洋・地球化学研究部)、竹川 暢之(首都大学東京 大学院理工学研究科)、金谷 有剛(独立行政法人海洋研究開発機構地球環境変動領域)、高橋 けんし(京都大学生存圏研究所)、谷本 浩志(国立環境研究所)、座長:中山 智喜(名古屋大学 太陽地球環境研究所)

17:03 〜 17:06

[AAS21-P07] 近赤外半導体レーザーを用いた波長変調吸収分光法による大気二酸化炭素安定同位体比計測

ポスター講演3分口頭発表枠

*金田一 勇介1戸野倉 賢一1 (1.東京大学大学院新領域創成科学研究科)

キーワード:二酸化炭素, 安定同位体, 近赤外吸収分光法

産業革命以降、温室効果ガスである二酸化炭素の濃度は年々増加しており、地球温暖化の原因となっている。二酸化炭素は様々な排出源から放出され、植物や海に吸収される。二酸化炭素は大気圏、水圏、地圏の間で循環を繰り返している。地球温暖化の抑制に向けてはこれらの間の二酸化炭素の排出量、吸収量を正確に把握する必要がある。そのためには、二酸化炭素の濃度の測定に加え、安定同位体の測定が重要である。二酸化炭素の安定同位体比は排出源によって異なることが知られており、二酸化炭素濃度と同時に、同位体比を計測することで排出源を特定し、炭素循環を解明する重要な手掛かりとすることが出来る。
同位体比の計測手法としては、従来用いられてきた手法として同位体比質量分析法(IRMS)がある。この手法は計測精度が非常に高い(0.01~0.1‰)一方で、装置が大がかりであることから実験室内でしか計測できない。そこで近年注目されているのがレーザー吸収分光法である。この手法は、装置をコンパクトにできるので可搬性に優れている。また、吸収線をうまく選択することで他の物質の干渉を受けずに計測できるので、サンプルを装置に直接導入することが可能である。したがって、装置を計測したい場所に持っていき、高い時間分解能でのリアルタイム計測が可能である。
本研究では、新規に開発された2.8 μm のDFBレーザーとヘリオット型の多重反射セルを用いて、波長変調吸収分光法による大気中の二酸化炭素安定同位体比高精度計測装置を構築した。本計測では2.8 μm 付近の12CO213CO212C18O16O の吸収線が並んでいる波長領域において、水の干渉が小さい波長を選定した。波長変調吸収分光法では、波長を高周波数で変調させたレーザー光を計測セルに入射し、サンプルを透過した光をヘテロダイン検出することで感度を向上させ、ゼロバックグラウンドの計測ができる。