日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG39] 陸域生態系の物質循環

2019年5月28日(火) 10:45 〜 12:15 301A (3F)

コンビーナ:加藤 知道(北海道大学農学研究院)、市井 和仁(千葉大学)、伊勢 武史(京都大学フィールド科学教育研究センター)、寺本 宗正(国立環境研究所)、座長:加藤 知道(北海道大学)

11:45 〜 12:15

[ACG39-11] ディープラーニングで見分ける生態系の動態

★招待講演

*伊勢 武史1大西 信徳2 (1.京都大学フィールド科学教育研究センター、2.京都大学農学研究科)

キーワード:ディープラーニング、ニューラルネットワーク、リモートセンシング

観測による生態学的データの取得には多くの苦労がともなってきた。そもそも観測対象として生物を選んだ時点で困難がつきまとうのだが、生態学がターゲットとする森林・湿地・岩場・高山・海洋などのフィールドで、学術研究に値する正確なデータを取得することに多大な時間と労力をかけてきた生態学者は多いことだろう。そのようなフィールド観測自体が生態学の醍醐味だと感じることも確かにあるが、新しい技術や考え方でデータ取得が容易になり研究がはかどるならば、我々はそれも受け入れるべきではないだろうか。本発表ではまず、観察し、仮説を立て、検証するという科学の手続きが、ビッグデータにもとづく「データ駆動型科学」でどのように成り立つかを検討する。次に、ビッグデータ科学の応用例としてディープラーニングを検討する。人工知能研究の進歩によって、従来はむずかしかった生態学的情報の抽出が可能となってきた。ディープラーニングによって、人工衛星画像からさまざまな植生を判別したり、デジタルカメラによる静止画や動画から特定の植物の存在を見分けたりすることが可能になっている。さらに、ディープラーニングによる時系列データ処理と将来予測についても紹介する。このように、強力なデータ取得ツールとしてのディープラーニングについて学ぶことは陸域生態系の理解の促進に貢献すると信じたい。