日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-RE 応用地質学・資源エネルギー利用

[H-RE17] 再生可能エネルギー分野への活用に向けた地球科学データの可能性

2019年5月28日(火) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:大竹 秀明(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 太陽光発電研究センター)、宇野 史睦(産業技術総合研究所)、島田 照久(弘前大学大学院理工学研究科)、野原 大輔(電力中央研究所)

[HRE17-P03] 力学的及び統計的アンサンブル予測を用いた風力発電ランプ現象の予測可能性

*野原 大輔1渡邊 武志1大庭 雅道1門倉 真二1 (1.電力中央研究所)

キーワード:風力、ランプ現象、予測

風速の急変化よって生じる風力発電出力量の急変化現象(ランプ現象)は,電力系統の安定運用に大きく影響を与えている.日本では,ランプ現象は主に温帯低気圧の発達やその進路等の総観規模擾乱の影響を受けているため,ランプ現象の予測精度向上のためには,総観規模の気圧配置の適切な予測が必要となっている.一方,大気力学に内在するカオス性により,予測を大きく外すこともあり,このようなカオス性に対し,摂動を与えた複数の初期値から複数の予測を行うアンサンブル予測手法が有効である.本研究では,アンサンブル予測手法を用い,気象予測の不確実性の考慮だけでなく,気象予測から風力発電出力への変換の不確実性も勘案し,予測の不確実性を網羅した確率的な風力発電出力及びランプ現象予測手法を開発した.アンサンブル予測は,気象庁の週間アンサンブル予報を,気象予測解析システムNuWFASにてダウンスケーリングし,アンサンブルメンバーの多様性を確保した11メンバーから構成される.風力発電出力への変換は,予測した風速とモニタリングによるエリア出力合計値の対応関係で得られる経験的なパワーカーブを用いる.この対応関係では,予測風速に対する出力結果の頻度分布をベータ分布で仮定し,累積頻度毎にパワーカーブを作成できる.アンサンブルメンバーと累積頻度をランダムに選び,合計100メンバーから構成される拡張したアンサンブル風力発電出力予測結果が得られる.東北エリアを対象とした検証をランプ現象の要因に分けて評価すると,低気圧や冬型を起因とする場合で捕捉率が高く,アンサンブル予測の利用による精度向上の効果が得られた.