日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-RE 応用地質学・資源エネルギー利用

[H-RE17] 再生可能エネルギー分野への活用に向けた地球科学データの可能性

2019年5月28日(火) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:大竹 秀明(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 太陽光発電研究センター)、宇野 史睦(産業技術総合研究所)、島田 照久(弘前大学大学院理工学研究科)、野原 大輔(電力中央研究所)

[HRE17-P05] 衛星観測された散乱日射強度に基づく地上日射量の効率的な推定法

*西澤 慶一1 (1.電力中央研究所)

キーワード:衛星観測、散乱日射、地上日射量

近年、太陽光発電の普及が進んでおり、電力系統に及ぼす影響を把握するため、発電出力を正確に知る必要がある。地域で積分された発電出力を見積もるには、気象衛星から観測された散乱日射強度に基づいて、地上日射量を推定する方法が有効である。

本研究で開発した地上日射量の推定スキームでは、初めに、観測された地表面-大気系の双方向反射率に対応する、層状雲の光学的厚さを見積もる。雲がある地球の双方向反射率を計算するため、東京大学が開発した放射伝達モデル(Rstar6b)を、16ストリームの分解能で用いた。この計算結果を、雲の光学的厚さ、氷雲の光学的厚さの比率、衛星天頂角の余弦、太陽天頂角の余弦、衛星と入射太陽放射の方位角の差、および地表面アルベドに関する6次元配列に予め保存しておき、雲の光学的厚さを効率的に推定できるようにした。雲の光学的厚さが得られたら、デルタ2ストリーム近似の太陽放射伝達モデルを用いて、地上日射量の直達・散乱成分を計算する。

この推定スキームを実際の衛星観測データに適用した場合を想定し、地表面アルベドなどに不確実性がある場合の地上日射量の推定誤差を見積もった。その結果、地表面アルベドを±0.05以内の誤差で与えれば、地上日射量の誤差が概ね±80 W m-2以内に収まることが分かった。