日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

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[O-03] 高校生によるポスター発表

2019年5月26日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、道林 克禎(名古屋大学大学院環境学研究科地球環境科学専攻地質・地球生物学講座岩石鉱物学研究室)、久利 美和(東北大学災害科学国際研究所)、山田 耕(早稲田大学政治経済学術院)

13:45 〜 15:15

[O03-P12] 過去からつながる横浜の空

*赤井 里佳子1 (1.横浜サイエンスフロンティア高等学校)

キーワード:気候変動、ヒートアイランド現象、対照実験、環境問題対策

現在、世界各地でたくさんの環境問題対策が講じられているが、それが本当にその土地に合った対策なのかはわからない。例えば、森林減少を食い止めるために木を切るのをやめるという対策を取ったとしても、実際は木を切らないことが木々の腐敗を進めてしまっていることもある。このような対策の逆効果を受けないためには、環境という大きな対象に対しても、小さく区切って考えることが、より効率の良い環境問題対策を各地でするために必要なことなのではないかと思い、この研究を始めた。

 研究の対象は、横浜サイエンスフロンティア高校のある横浜である。よって、横浜地方気象台のデータを用いて研究した。

 まず、横浜の1965年から2014年までの50年間の気候変動を調べた。横浜地方気象台の気象データや、緑被率のデータ、また気候変動や気象に関する文献を組み合わせて、調査を行った結果、分かったのは以下の4つのことである。1つ目は気温上昇とそれに伴う相対湿度の減少、2つ目は雲量・降水量・雷日数の増加である。これによって積乱雲が増えたと考えられる。3つ目は緑被率の減少(横浜地方気象台のある横浜市中区の緑被率のデータを用いた)、4つ目は霧日数の減少だ。もともと年間20日程あった霧日数が近年約2日となっている。この原因は気温上昇によって地面の温度が上昇したことだと考える。これら4つを総合して考えると、横浜ではヒートアイランド現象が起こっていると考えられる。ヒートアイランド現象は、緑が少なく、地面がコンクリートで覆われた大都市で、周囲よりも気温が高くなる現象のことである。

 次に、ヒートアイランド現象対策のために、空気を冷やすクールスポットを置くことを考えた。そして、どのように設置すればより効率よく温度を下げられるかを考えるため、実験を行った。その方法は水槽に1.5ℓのお湯を入れ3分間の温度上昇を測るというもので、対照区は3つ設けた。1つ目は水槽にお湯のみを入れた。2つ目は水槽に水道水を入れた50㎖のビーカーを1つずつ両端に置いてからお湯を入れた。3つ目が50㎖のビーカーを2つ並べて中央に置いた。このビーカーは、クールスポットを表現している。この実験の結果、最も温度上昇が小さかったのは2つ目の実験区で、3分間の温度上昇は平均4.9℃だった。次に小さかったのは1つ目の実験区で5.4℃、そして最も温度上昇が大きかったのは3つ目の実験区で5.6℃だった。しかし、ここで疑問に思ったことは、ビーカー内の温度上昇が2つ目の実験区の方が3つ目よりも小さかったことだ。この点については今後考察を深めていきたい。
 今後は、今回の実験の疑問点の解消のほかに、クールスポットの明確なイメージを作るための実験を進めたり、実際の地図を使ってどこにクールスポットを置けばいいかを考えたりしていきたい。