日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

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[O-03] 高校生によるポスター発表

2019年5月26日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、道林 克禎(名古屋大学大学院環境学研究科地球環境科学専攻地質・地球生物学講座岩石鉱物学研究室)、久利 美和(東北大学災害科学国際研究所)、山田 耕(早稲田大学政治経済学術院)

13:45 〜 15:15

[O03-P74] なぜ附属高校大グラウンドの水はけは悪いのか

*伊東 了宇1、*青島 秀多1、*水谷 友哉1、*石井 大智1齋藤 洋輔1 (1.東京学芸大学附属高等学校)

キーワード:水はけ、表面排水

東京学芸大学附属高校硬式野球部は、活動場所である大グラウンドの水はけの悪さに長らく悩まされてきた。本研究では、大グラウンドの水はけを改善するための効果的な方法を考察することを最終的な目標とした上で、何故大グラウンドの水はけは悪いのかを明らかにすることを目指した。校内での先行研究では、①降雨後大グラウンドの観察、②大グラウンドの土の粒径を本校サッカーグラウンドと比較した実験、③大グラウンドの土の粒径を本校サッカーグラウンドと比較した実験の三つを行い、大グラウンドの水はけが悪い原因は、土質ではなく表面排水にあることを示唆した。
本研究における調査では、まず大グラウンドにできる水たまりの挙動を観察し、さらに大グラウンド地表面の凹凸と地下土への浸透雨水量について測量を行った。(水たまりの分布図、地表面の凹凸を表す段彩図を図表に示す。)結果より、大グラウンドにおける水たまりのできやすい地点は、周囲の地点に対する相対標高差が低くなる箇所であることが確かになった。大グラウンドの水はけが悪い理由について地表面を移動する雨水に着目して考えると、地表面の傾斜を原因として雨水の流路が形成され、形成された流路が大グラウンドの外へ連続せず大グラウンド内で淀むため、水たまりができやすいと言えることが分かった。結果より、水はけ改善のためのアプローチとしては、大グラウンドに既存の雨水の流路を大グラウンド外と連続させることで、大グラウンドの外へ排出する雨水の量を増やす、流路改修という方法が効果的であると結論付けた。
一方、本研究の調査では、地表面を移動する水量と地下土への浸透水量との間の定量的関係は検証することができなかった。今後、大グラウンドが受けた雨水全体の移動、すなわち大グラウンドにおける水はけのメカニズムの全体を理解するためには、降雨に対する大グラウンドに浸透する水量を定式化することが必要であると考えられる。