日本地球惑星科学連合2022年大会

出展者情報

愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター

愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター

GRCの紹介動画


地球深部ダイナミクス研究センター(GRC)パンフレット

◆国際性・革新性・学際性
 地球深部ダイナミクス研究センターは,先進的な超高圧実験と数値計算基に,地球深部の物質・状態・ダイナミクス・進化の研究をおこなっています.3つの「I言葉」を基本理念に,地球下部マントルの化学組成,地球中心核の物質・構造,地球深部水,系内・系外惑星の内部構造,惑星内部の運動(ダイナミクス),また,世界で最も硬い物質「ヒメダイヤ」をはじめとした新規素材の合成などに取り組んでいます.

◆先進超高圧科学研究拠点(PRIUS)
 GRCは,平成25年度から文部科学大臣認定の共同利用・共同研究拠点となりました.先進的超高圧科学・技術を基に国内外の研究者と共同し,地球・惑星深部物質科学や超高圧合成を活用した新規有用素材の開発などの国際的研究教育拠点として,学際的研究や新分野の創出を進めています.

◆超高圧地球科学・惑星科学と材料科学
 超高圧・高温状態下の地球・惑星内部の状態を探るために,GRCでは超高圧実験や数値計算を主たる研究手法として用いています.その技術を応用し,新規素材・材料の探索・合成・評価を軸とした「超高圧材料科学」という学際分野へ展開しています.
 
超高圧実験で探る地球の深部 パンフレット
◆地球深部の高温・高圧力
 地球の半径は約6400km。人間が掘った最深の穴は10km程度で,地球深部は人類未踏の地です。地球深部は中心部で圧力360万気圧、温度5000度Cの超高圧・高温の世界です。

◆地球深部の高温高圧を実験で再現
 GRCではマルチアンビル超高圧発生装置とダイヤモンドアンビル装置の2種類の超高圧発生装置を用いて地球・惑星深部の高温高圧の再現実験を行っています.特にマルチアンビル装置は,世界最大級の6000トンプレスをはじめとして,研究施設として世界有数の台数を備えています.

◆鉱物の相転移
 超高圧の世界では、原子の配列が変化する“相転移”が起こります。ダイヤモンドも、石墨(グラファイト)が5万気圧(深さ150km)で相転移してできたものです。鉱物の相転移や、それに伴う密度の変化などを測定することにより、地球内部の構造や物質がわかります。
 
コンピュータで探る地球の深部 パンフレット
◆第一原理計算︓原子や電子のミクロな動きを探る
 固体物理学の基本原理である量子力学に基づき、超高圧下での地球や惑星の物質の相転移や密度・弾性などの性質を解明します。珪酸塩や鉄合金など地球を構成する複雑な物質を扱うため、独自の計算手法の開発もすすめています。

◆流体力学計算︓マントルと核の大規模運動を再現
 流体力学・連続体力学に基づき、地球や核のダイナミックな挙動や進化過程を計算機によりシミュレーションします。実際の地球の現実的なパラメーターを用いた3次元球内の大規模な計算もおこなっています。
 
愛媛大学で生まれたヒメダイヤ パンフレット
◆ヒメダイヤとは?
 愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センターが生みだした、世界で一番硬いダイヤモンド(=世界で最も硬い物質)です。1個の粒(結晶)からできている普通のダイヤモンドと違い、10ナノメートル(10万分の1ミリ)くらいの小さいダイヤモンドの粒がぎっしりつまった“多結晶”で、ナノ多結晶ダイヤモンド(NPD)とも呼ばれています。

◆ヒメダイヤの作り方
 原料はグラファイト(石墨)です.圧媒体やヒーターなどのパーツを組み合わせ,マルチアンビル超高圧発生装置で加圧・加熱することで,触媒を用いずに直接にダイヤモンドへ相転移させます.GRC最大のマルチアンビル装置「BOTCHAN」で,最大1cmサイズのヒメダイヤを合成できます.
 
ヒメダイヤの応用・新規物質合成 パンフレット
◆ヒメダイヤの形状加工
 真球からのずれが数ミクロン以下の球状ヒメダイヤを作成しました。このサイズの大型真球ダイヤの作製は世界で初めてと考えられます。ダイヤの真球加工は難しいのですが、ヒメダイヤのナノサイズの均質多結晶体という優れた特性がそれを可能にしました。真球作製が可能であれば、あらゆる形状への加工も可能で、超高圧発生装置用のほか、様々な産業利用への加工も期待できます。
 
◆さらなる高圧発生を目指して
 より高い圧力を発生させることが地球・惑星の深部構造を探る上で重要です。そのためには、より「硬い」物質で実験試料を押せば良く、ヒメダイヤの特性が最も活用できます。従来用いている超硬合金や焼結ダイヤより硬いことに加え、高い透光性を活かした光学観察や輻射光利用も可能です。自由な形状に加工できるようになった現在、ヒメダイヤアンビルを用いて「さらなる超高圧=地球・惑星のより深部への探究」を進めます。

◆多結晶新規物質・多結晶宝石
 ヒメダイヤ合成技術を活用した新規物質合成も行っています。「割れにくい&硬い」特性を持つナノ多結晶スティショバイト(NPS, SiO2、シリカ)や、地球を構成する主要物質の一つのガーネット(ザクロ石)のナノ多結晶体(NPG)も合成。微量元素の添加など様々な化学組成で合成可能なNPGは,高透光性と高硬度を持ち,光学材料への応用とともに,ブリリアントカットヒメダイヤなどと合わせ「多結晶宝石」も続々誕生するかも知れません。
  • 担当部署

    愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター

  • 住所

    790-8577
    愛媛県松山市文京町2-5愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター

  • Tel

    089-927-8165

  • Webサイト・SNS

    http://grc.ehime-u.ac.jp/