JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[EJ] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CC 雪氷学・寒冷環境

[A-CC37] [EJ] アイスコアと古環境変動

2017年5月23日(火) 15:30 〜 17:00 A08 (東京ベイ幕張ホール)

コンビーナ:川村 賢二(情報・システム研究機構 国立極地研究所)、竹内 望(千葉大学)、阿部 彩子(東京大学大気海洋研究所)、座長:對馬 あかね(総合地球環境学研究所)

16:45 〜 17:00

[ACC37-16] 2016年中央アジア・パミール山域レーニン峰アイスコア掘削報告

*竹内 望1藤田 耕史2川村 賢二3對馬 あかね4宮内 謙史郎1堀 燿一朗1Vladimir Aizen5Azamat Osmonov6 (1.千葉大学、2.名古屋大学、3.国立極地研究所、4.総合地球環境学研究所、5.アイダホ大学、6.中央アジア地球物理研究所)

キーワード:中央アジア、アイスコア、パミール

中央アジア山岳域の西端に位置するパミール高原は,アジアモンスーンよりも偏西風の影響を強く受ける中央アジアの中でも特別な気候条件をもつ地域である.パミール高原には数多く氷河が存在し,その融解水は下流部乾燥域の人間社会を支え,最終的にアラル海に注ぐ.この地域の水資源変動の将来予測のためにも,パミール山域の過去の気候変動の復元は重要である.2016年8月に中央アジア・キルギス共和国パミールアライ山域でアイスコアを掘削した.掘削した氷河は,レーニン峰(7134m)から西へ約20km離れた標高約5300 mの氷帽頂上である.3本のアイスコアを掘削し,1本目は約7 mで水が現れ,2本目は約12 mでクレバスに達し,3本目は約37 mで底部岩盤に達した.底部に達した3本目のコアは,平均密度は847 kg m-3で,15m以深はほぼ再凍結氷であった.掘削高温度の測定の結果は,底部で-6.3℃であった.以上の結果は,パミール山域では5300mの標高でも氷河表面は融解再凍結が起こること,また掘削したアイスコアは過去環境復元の目的としては限定的な試料であることを示している.アイスコアは今後,同位体,化学分析等が進められる予定である.