JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[EE]Eveningポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-IT 地球内部科学・地球惑星テクトニクス

[S-IT22] [EE] 核-マントルの相互作用と共進化

2017年5月21日(日) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

[SIT22-P36] 高圧下におけるFe-FeS二成分系融体の密度

*浦川 啓1寺崎 英紀2田窪 勇作2下山 裕太2黒川 冬華2真木 まゆみ2斉藤 龍之介2町田 晃彦3 (1.岡山大学大学院自然科学研究科、2.大阪大学大学院理学研究科、3.量子科学技術研究開発機構)

キーワード:planetary core, Fe-S liquids, density, thermal expansivity

水星とガニメデの磁場の起源となるダイナモは,流体核の上部で析出した固体鉄の沈降によって起こる組成対流に駆動されていると考えられている。内部の圧力が低い小さい天体の流体核は,断熱温度勾配が融点勾配より大きいため冷却に伴い上部から固化する。従って,高圧高温下のFe合金メルトの密度と熱膨張率の研究が小さい天体の磁場の起源と進化の解明の鍵となる。Fe-Ni-S系メルトは水星や月などの比較的小さい天体の金属核を構成していると考えられている。本研究では高圧下の密度測定からFe-FeS二成分系メルトの密度(モル体積)を3.5GPa,1500K~2000Kにおいて調べた。高圧下のFe-FeS二成分系メルトの密度測定にはSPring-8のBL22XUに設置されている高温高圧プレス装置を用いた。挿入光源からの強力な単色X線を利用してX線吸収法で密度を決定した。Fe-FeS二成分系メルトの密度はイオウ含有量の増加とともに小さくなる。Fe-FeS2成分系メルトは数GPaでは負の過剰体積を持つと報告されている(Nishida, 2008; Buono & Walker, 2011)が,今回の結果からFeメルトFeSメルトの混合は理想混合から大きく外れてはいないことが示された。X線吸収法は従来の浮沈方や熱力学解析より精度が高いので,Fe-Sメルトの圧縮特性や熱化学的性質の研究に有効であると考えられる。