JpGU-AGU Joint Meeting 2017

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[JJ] ポスター発表

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[O-05] 高校生によるポスター発表

2017年5月21日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

13:45 〜 15:15

[O05-P30] 実験と過去の竜巻調査による竜巻の発生条件の研究

*塚越 栞奈1 (1.横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校)

キーワード:竜巻

はじめに
 竜巻は局地的な地域で発生する自然現象である。しかし、その詳しい発生条件は解明されていない。そこで、竜巻の発生条件を調査するための研究を2つの観点から行った。1つ目は寒気と暖気の衝突による竜巻のもととなる平行渦の発生実験及び平行渦と上昇気流の利用による竜巻の発生実験である。2つ目の観点は日本で昨年度発生した竜巻の災害調査報告書の調査である。これら2つの結果を比較し、考察を行った。

研究方法1
実験1 平行渦の発生実験 (図1、図2)
1、発泡スチロールの両端に穴をあけ、それぞれから寒気と暖気を送る
2、発泡スチロールの中心で衝突した空気を観察する
3、発泡スチロールの上に遮へい用の壁、段ボール箱を
   付け足し、氷の量を増やすことで条件を変えて実験を繰り返す
実験2 竜巻の発生実験(図3、図4)
1、段ボールの両端、上部に穴をあけ、両端からそれぞれ寒気と暖気を送り、上部から空気を吸い上げる
2、段ボールの中心で衝突し、吸い上げられた空気を観察・記録する
3、寒気と暖気に利用するものを変えて実験を繰り返す

結果1
実験結果1 表1平行渦の発生実験結果を参照
実験結果2
 竜巻を発生させることができなかった
→原因として考えられること
 ・掃除機の吸い上げる力が弱い
 ・風のぶつかりが強すぎて反発しあう
 ・寒気と暖気の温度差が足りない

研究方法2
1、気象庁公式サイトの各種データ・資料ページより「竜巻等の突風データベース>最近発生した事例一覧(速報)」にアクセスした。
2、2016年4月1日以降に発生した竜巻等の突風の情報から、地上で発生した竜巻の現地災害調査報告をダウンロードした。
3、2の報告書から以下の項目を調べ、まとめた。
  ①JEFスケール及び推定される風速
  ②発生地域及び被害範囲の長さ、幅
  ③大気の総観
4、発生地域の航空写真を国土地理院ホームページ地図空中写真閲覧サービスからダウンロードした。
結果2
・災害調査報告書で報告された、推定される竜巻の風速と被害範囲には正の相関がみられた(図6)
・航空写真より、竜巻発生地域のほとんどが畑などの平地であった。
・同じ地域(同市、隣の市)で違う日時に竜巻が発生した場合が3度あった。また発生時の天気図を比較したところ、大気の様子が似ている点があった。

考察
 実験及びデータ調査結果から、竜巻は以下の条件下で発生すると考察した。
・高低差のない平地で温度差の大きな寒気と暖気が衝突し、干渉することで平行渦が発生すること。
・寒冷前線の通過、台風等により強い上昇気流が通過すること。
また、この時に大気の様子によって発生しやすい地域は異なると考えた。

おわりに 今後の展望
 実験2の条件を変えることで竜巻の発生を引き続き試みる。この時、寒気と暖気に見立てた風の速度と温度を風速計と熱電対を用いて計測する。また、過去の竜巻調査では高層天気図とアメダスデータの記録を用いて関係性があるかを見出す。
参考文献
小林文明:竜巻 メカニズム・被害・身の守り方,
森田正光,森さやか:竜巻のふしぎー地上最強の気象現象を探るー
小倉義光:日本の天気 その多様性とメカニズム,
「竜巻等の突風データベース」/気象庁/
「過去の地点気象データ・ダウンロード」/気象庁/
「地図空中写真閲覧サービス」/国土地理院/