JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] ポスター発表

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[O-05] 高校生によるポスター発表

2017年5月21日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

13:45 〜 15:15

[O05-P48] 十種雲形の現れ方の季節変化

*奥角 碧1 (1.海城高等学校)

キーワード:十種雲形

雲はその大まかな形や高度から十種類に分けられ、十種雲形と呼ばれる。この十種類の雲形のうち、例えば夏には積乱雲が多くみられるなど、季節によって発生しやすい雲の種類は変化していることが感覚的に実感できる。
 本研究では、雲形ごとの発生頻度にどの程度の季節変化が起こっているのかを、約3年間の観測から得られたデータを考察することで数値的に明らかにした。またその季節変化の要因を突き止めるために気象庁の気圧、気温、湿度のデータと比較を行った。
 観測はさいたま市の観測地点で毎朝行った。東西南北それぞれの方角の空を、同一の画角で撮影し、その写真中の雲量を十種雲形の種類ごとに分析するという方法で行った。気象庁データは観測地点から最も近い気象台・測候所である東京管区気象台のものを用いた。
 分析の結果、雲形ごとの発生頻度は、春(3~5月)と夏(6~8月)で似たような傾向を示した。この6か月間で撮影した1408枚の写真のうち、雲が全く見られなかった363枚を除く1045枚の写真中に1139の雲を認めた。各雲形の割合は巻雲10%、巻積雲8%、巻層雲7%、高積雲10%、高層雲11%、積雲4%、層雲2%、層積雲25%、乱層雲23%、積乱雲0%であった。一方、秋(9~11月)と冬(12~2月)とでも似たような傾向があった。この6か月間で撮影した1348枚の写真のうち、雲が全く見られなかった591枚を除く757枚の写真中に837の雲を認めた。各雲形の割合は、巻雲7%、巻積雲8%、巻層雲2%、高積雲10%、高層雲11%、積雲4%、層雲1%、層積雲32%、乱層雲25%、積乱雲0%であった。
 巻雲、巻層雲、層雲は秋・冬よりも春・夏に頻度が高いのに対し、層積雲、乱層雲は春・夏よりも秋・冬に頻度が高かった。巻積雲、高積雲、高層雲、積雲は季節による変化が見られなかった。なお、積乱雲については、朝早くの観測であったために、この時間帯では発生していなかったと考えられる。
 一度に発生する雲量の平均は、層状の雲(乱層雲、層積雲、層雲、巻層雲、高層雲)で8.28となったのに対し、塊状の雲(積雲、巻積雲、高積雲)は4.22と少なかった。これは、一般的に層状の雲が塊状の雲に比べて発生時に広面積になりやすい、という特徴と合致しており、観測方法の妥当性、正確性を確かめることができた。
 また、月平均雲量は6月~9月が7.08と他の月に比べて多いという結果になり、気象庁の月平均湿度のデータと比較すると、変化の傾向がほぼ一致するということがわかった。しかし、1日単位で雲量と湿度を比較すると、両者には関係を見ることができず、現状ではその要因を捉えるには至っていない。今後は観測地点での湿度の計測や、天気図との比較も含め検討が必要である。